皮膚糜爛とは表皮の水疱、膿疱を摩擦等して潰破したのちに生じる。渗出液を流出する表皮欠損をいう。損傷が深くて表皮に及んでいる場合は、皮膚糜爛に含まない。


⑴湿毒型
①メカニズム
外湿と毒邪が結合し皮膚を障害する為に発生する。伝染性膿痂疹に相当する。
②特徴
湿毒の多い夏秋に好発し小児によくみられ、鮮紅色で湿潤したびらん面を生じ接触により拡大しやすいことである。
③症状
鮮紅色の湿潤したびらん面で、淡黄色透明の渗出液が流出し他部に新しい水疱を発生し乾燥後に黄褐色の膿痂を形成し全身症状はないが、時に発熱、悪寒等を伴う。舌質は紅、舌苔は黄あるいは黄膩、脈は滑数。
④治法
除湿解毒湯等祛湿解毒薬を中心に対策する。
⑵脾湿型
①メカニズム
脾虚で運化が低下した為に内湿が生じ湿邪が皮膚から湓出する為に発生する。
湿邪は、生冷飲食や脂・乳製品・酒・甘味・高カロリー食材の過食により生成される。
②特徴
淡色で湿潤して薄い渗出液の多いびらんで、特定の発生場所はなく胃部不快感、食欲不振、顔色が萎黄、浮腫、泥状便等の脾虚の症候を呈する。
③症状
湿潤して多量の脂性のうすい渗出液を出す淡色
あるいは微紅色のびらんで、面状に浸潤拡大し乾燥後に痂皮を形成し、胃部不快感、食欲不振、顔色が萎黄、手足の浮腫、泥状便、舌質は淡、舌苔は白あるいは膩、脈は緩等を呈する。
④治法
除湿胃苓湯等で健脾除湿薬を中心に対策する。
⑶陰虚湿滞型
①メカニズム
水疱が破壊した後に長期間治療せず、渗出液の流出が消耗して陰虚が生じ湿邪も停滞している為に発生する。
②特徴
暗紅色で渗出液が少ないのに乾燥し難いびらん面で、同時に他の部位に水疱がみられ、口乾があるが飲みたくない、舌質は紅絳で乾燥、舌苔は無いあるいは舌根部がやや膩、脈は細滑等の症候を呈する。
③症状
淡色あるいは暗紅色のびらんで渗出液は少なく慢性に経過して痂皮形式を反復し、皮膚の乾燥あるいは落屑、口乾があるが飲みたくない、舌質は紅絳で乾燥、無苔あるいは舌根部がやや膩苔、脈は細滑あるいは弦細等を呈する。
④治法
滋陰除湿湯等滋陰除湿薬を中心に対策する。
