2022.1.20 狗奴国のありかが判明(その1) | 棟上寅七の古代史本批評

2022.1.20 狗奴国のありかが判明(その1)

●オミクロン株という感染力の強いコロナウイルスの跋扈でTVをつけても、てんやわんや状態です。当方もマスクや手洗いということは一応心がけてはいますが、かかったら仕方ないや、というお手上げ状態です。幸い今のところは緊急事態宣言など出されていませんし、日常生活に支障は出ていません。ただ、図書館が閉鎖されないことだけは願っています。

 

●大寒の今日は、寒波襲来ということで、北部九州も雪が降る、という予報が出ていました。予定では昔の仕事仲間とのゴルフコンペの日でしたが、無理してゴルフ場に行くこともないか、と、昨日欠席の連絡をしました。

今朝起きて外をうかがうと、曇ってはいますが雨も降っていず、雪空とも見えません。ゴルフ場は北部の海岸に近いところですから、気候はゴルフには厳しいことだろう、と残念でしたが、今日はPCに向かって、図書館で調べた資料の整理、ということになりました。

 

●昨日は、貝原益軒が『筑前国續風土記』に『和名抄』に筑前国鞍手郡に「十市郷」があると記し、現在は沼口村の内に「都市村」がある、と述べています。

 

「倭人伝」に卑弥呼の使いで魏朝に使いをした「都市牛利」という人物がいます。古田師は福岡の上城さんから「都市〈といち〉」さんという姓の人がいることを知らせてもらい、その方の出生地が長崎県の鷹島ときかれ、都市牛利は水軍の長ではなかたのか、という推定をされていました。

 

青柳種信の『筑前国續風土記・拾遺』の鞍手郡について「十市・都市」の地名を探してみましたが見当たりません。福岡市総合図書館に『明治前期全国村名小字調査書』があることはわかっていましたので出かけて調べてみました。

鞍手郡沼口村には30の小字名がありましたが、そのものズバリの名は見えませんでした。「都市」の名残りかと思えるものに、「都地〈トチ〉」・「トチ原」の二つがありました。

古田武彦師が『三国志』の倭人国の旁国の名前で、元の「大阪書籍版」では「郡支国」で、今回の朝日文庫版には同じ紹熙本版を用いていたのに「都市国」となっているということがあった、と古田氏は、述べています。

ミネルヴァ書房の杉田社長が調べていただいたら、中国で改めて紹熙本版を起こしたときに間違いが生じていて、宮内庁が保管していた紹熙本が用いられている「大阪書籍版」の方が正しいということが述べられていました。

鞍手郡に「都市国」を求めるのはむつかしいようです。

 

●「倭人伝」を読み返していて不思議に思っていたことについて、ひらめいたことがあります。

生前の古田師も「新しい発見がありました」と、よく報告されていました。最たるものは『隋書』にある阿蘇山の描写についての新発見だったと思います。寅七もその年代になって、その轍を踏んでいるのかもしれません。

 

「倭人伝」の記事で多くの人を惑わすのが「二つの奴国」でしょう。一つは「邪馬壹国の近くにある奴国」ともう一つは「21の旁国の最後にでてくる女王の境界の尽きるところにある奴国」です。また、それに続いて「その南に狗奴国がある」と書いています。

 

何がひらめいたのか、というより陳寿はこの「親魏倭王」卑弥呼女王の敵国「狗奴国」の所在地を、現在日本で解釈されているように漠然とありかを伝えたのであろうか。こんな報告では魏帝は満足しないはず、と思ったのです。

 

その頭で、原文を読んでみてひらめいたのが、漢文には句読点がないということでした。それを考慮して読んでみたら、この狗奴国はここですと言える文章は存在していたのです。

 

「倭人伝」の女王国の配下の国々について陳寿は次のように述べていると思われるのです。

 

まず、邪馬壹国への行路について述べ、次に「自女王国以北其戸数道里可得略載」と述べ、続いて「其余旁国遠絶不可得詳」と述べています。

それに続いて「次有斯馬国次有・・・・次有烏奴国」と20国が述べています。ここで「女王国より北の旁国」についての名前上げが終わった、のではないかと思われるのです。

 

韓伝でも多くの小国が列記されていますが、ネットでみますと、北から順に記載されている、という結果報告もあります。(次回につづく)

 

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