『くにのあゆみ編纂始末』を読んで 28.6.16 | 棟上寅七の古代史本批評

『くにのあゆみ編纂始末』を読んで 28.6.16

●なんとなく都知事劇場も主役が退場となり、話題は既に次期主役が誰かに移っています。ルールはどう決めればよいでしょうが、都知事選挙みたいな大舞台には、アメリカの予備選挙みたいな仕掛けもあってよいのかな、と思います。具体案は思い浮かびませんが。

●なんとなく梅雨にいる、という感じです。青物や新鮮な魚を見てみたい、と昨日は糸島から七山~三ツ瀬と一回りしました。
有料道路を使わずのんびりと回りましたら、普段と違う街道をまわり、田舎の温泉に浸かったり結構楽しく老夫婦二人のドライブ旅行でした。

●敗戦後の歴史研究で「タリシヒコの謎」について調べていて、家永三郎氏が敗戦後の教科書第一号である『くにのあゆみ』を執筆者であることを知りました。

『「くにのあゆみ」編纂始末』という家永三郎氏の著書が市の総合図書館にあることを確かめ、借りてきて読んでみましたら、「タリシヒコ」のタもなく、隋との国交を聖徳太子が始めた、とあるだけでした。

しかし、この本で述べられている敗戦直後の混乱期の教科書編纂についての顛末の記録は、貴重な証言と思われました。
GHQからの教科書編纂の方針、GHQから記述を入れるように指示された巻末の文章、それにGHQから示された年表の天皇の権限の度合いをしめす濃淡の色についての指示の経緯など興味深いところです。

年表の件は、「昭和31年以後天皇の権限はほとんどなくなった」、というGHQの判断がしめされたそうです。この昭和天皇を戦犯にしないですむというGHQの方針に反して、文部省の役人が「明治維新以来天皇の権限は、王政復古していた」と主張したなどは、たとえがまずいかもしれませんが「親の心子知らず」の文部官僚の頭の堅さを知ることが出来ます。