使用中止が決まった
五輪エンブレムを初めて見た時、「
えー、コレなのか」と結構な衝撃を受けた。もちろんポジティブな意味でなく。やはり、格好悪いし色彩が暗いのだ。
だから、遅きに失したとはいえ「
使われない」ことが決定した発表が今月の頭にあった時は、素直に喜ばしいと思ってしまった。
7月にエンブレムを公表した組織委員会の
公式サイト内ページは、今さびしいことになっている。
それでも、再公募で次のエンブレムが決まるまで、再度使われることになった招致エンブレムが左上にちょこんと表示されていて
清々しい。
ものすごく素朴な疑問として、
桜のリースの招致エンブレムより、佐野研二郎氏のエンブレムの方が良いと思う人は、国民のどの程度の割合なのだろうか。個人的には
安保法制の賛否よりも
世論調査の対象にしてもらいたい位だ。
エンブレム公表後のめまぐるしい展開も驚きの連続で、選考経緯の不透明さや広告代理店の暗躍や組織委員会の体質やデザイナー業界のお仲間体質や記者会見を始めとする対応の稚拙さや
ミスターなんとかという会社の出鱈目さや盗用とか模倣とか剽窃とかトレースとかコピペとかについても、要するに
今回のゴタゴタの殆ど全てに疑問は尽きない。
それでも、最大の疑問は「
100を超えるという応募作品のうちで佐野氏のものが最良」とした審査員の方達は
正気なのかということである。経験上、「
100」という数字には結構大きな意味があると思っている。
どんな母集団からどんな方法で選ぼうと、
100人選ぶと5人位優秀な人間はいるものだし、仮にも「
デザイナー」の方達が100人も寄り集まって出したアイデアの全てが「
あれ以下」などということが現実にあり得るだろうか。
応募者の怒りのコメントがもっとあふれ出してもおかしくないし、本来、専門家であればより怒りは深いはずだ。Amazonでは、佐野氏の著作「
7日間でできる思考のダイエット」に、同業者と思われるレビュアーが「深く静かな怒り」を感じさせるレビューを投稿しており、本日時点でなんと5300人を超える「参考になった」の投票が寄せられている。「
ミスターなんとかという会社」に対しては、「ネーミングの恥ずかしさに言葉も出ません」とまで書いており、やはり同業者でも同じように思うようだ。
ベルギーの
リエージュ劇場のロゴに似ているというクレームがついたときも、模倣や盗用の有無はさておき、大抵の人は「
確かに似てるな」程度の感想は持ったのではないかと思う。
個人的にはこちらの方が色彩的にもより「アウト」な印象があった。
「
パクるほどのものか」と言っていた著名人がいたし、結果としてできたものだけを見ればその意見にはそれなりの説得力がある。
それほどに佐野氏のエンブレムには魅力がないという意味だろう。付け加えておくとリエージュのロゴはすっきりしていて格調も感じさせる良いものだと思う。
リエージュのロゴはシアターとリエージュの頭文字を象ったものだということがはっきりしているのに対し、佐野氏エンブレムに対して覚えた違和感はやはり
右下にある出っ張りだった。
やはり気になる不可解な出っ張り
8月5日の釈明?会見で用意していた「アルファベット展開」も、素直に見ればなぜか「
T」にだけ存在する
右下の出っ張りの必要性が全く分からないし、その後出てきた「原案」とされるものからの変遷の経緯説明もすっきり腑に落ちたという方は少ないのではないかと思う。

エンブレムのコンペで審査委員長を務めた
永井一正氏が強調していた「
展開力」というのも意味がよく分からない。アルファベットの見た目も悪いし、ネットからの写真無断盗用が暴かれてしまった「
展開案」に登場するノベルティのデザインも意味不明だったし、YouTubeで公開されていた「
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 エンブレム紹介(2分20秒版)」(エンブレム使用中止決定と同時に公開も終了)という動画で乱用されるエンブレムの「破片」も目がチカチカして気分が悪くなりそうな代物だった。
「ニコニコ動画」ではまだ見られるので、興味のある方はこちらをどうぞ。
なお、この動画の音楽にまで「
深刻なパクリ疑惑」が指摘されている。佐野氏や組織委はもう呪われているとしか思えない。
一人でテレビのインタビューに答えていた永井氏の説明も全く「
火消し」にならないどころか「
出来レース」ではないかという疑惑を増幅してしまい、果ては自らの過去の盗用疑惑まで取り沙汰される始末だった。「
晩節を汚す」というのはこういうことを言うのだなと思ってしまった。
佐野氏が雲隠れしてしまい、組織委が行った「
使用中止」会見でも
武藤敏郎理事長が「
一般国民」という言葉を多用しすぎて意味不明に陥っていた。それを見ていてふと、子供の頃大嫌いだった「
裸の王様」を思い出してしまった位だ。
なぜ嫌いかというと、
日教組教育のお陰か、王制や封建制では、統治者である君主は、「
民は愚昧なもの」だという認識を持つものだと思い込んでいたので、「
馬鹿には見えない服」を着て大衆の前に出るということは、愚かな民を前に自らストリップを見せるのと同じだと分からないはずがない、もっと言えば「
大衆全てを無条件に信頼している王様」という人物設定に説得力を感じなかったのだ(大本の伝承は若干ニュアンスが違うようだが)。
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Amazon.co.jpもちろん、会見での武藤氏は「
専門家には分かるが、一般国民の理解が得られない」から「
使用中止」にするとのたまった訳で、大衆を愚弄する発言と受け取られても仕方がなかったし、実務的なトップであるのに「
責任の所在」も「
それぞれにある」と逃げを打ってしまった訳で、非難は免れまい。
武藤氏(最後の大蔵事務次官・初代財務事務次官)と言えば、
ノーパンしゃぶしゃぶが流行語になった「
大蔵省接待汚職事件」で一度失脚するも、再起して大蔵省の事務次官になったり、退官後のポストでは民主党の妨害で日銀総裁になれなかったりと波乱万丈(?)な元官僚だ。
また、エンブレム使用中止の忠告を無視し続け、決定後に記者に「
何が残念なんだ」と言った組織委会長の
森喜朗元首相や、「(エンブレム入りの名刺等を)
もったいないからそのまま使う」と言って2日で撤回した舛添要一都知事、様々な賞の
仲間内での出来レースが指摘された審査委員会のメンバー等、登場する人物がほとんど全てろくでもなかった。石原慎太郎元都知事も
草葉の陰で泣いているだろう。
また、今回の騒動まで個人的には名前も知らなかった
佐野研二郎という人物には
今年最大級の衝撃を受けた。ネット上では既に
小保方晴子氏や
佐村河内守氏、
野々村竜太郎氏と
並び称される存在になってしまっている。「
佐野々村河内」などという造語まで飛び出す始末だ。
五輪エンブレムの盗用疑惑自体は、認めない限りどこまでもグレーのままだろう。しかし、その後に発覚した「
展開案」については
盗用を認め、それが「
使用中止」の決定打になったようだ。また、
サントリーのトートバッグについても「
スタッフのせい」にしながらも盗用を認めている。
つまり、「
絶対にやってはならないルール違反」について、(動かぬ証拠を突きつけられたものだけだが)いくつかを認めた以上、この男の信頼性はほぼゼロである。
余罪を追及される容疑者のようなものだ。「
あっちはやりましたがこれだけはやってません」を信用してもらうのは至難だろう。
そして、その後も続々と「発掘」された疑惑のうち、佐野氏の母校、多摩美術大学の宣伝ポスター「
TAMABI」シリーズの写真盗用(少なくとも2点)は決定的である。もし権利者に訴訟を提起されれば間違いなく敗訴するだろう。
それにもかかわらず、
ミスターなんとかという会社で広報担当を務める同氏の妻は、この指摘について「
事実無根」という明白な虚偽を回答してしまったのだ。
いかに代理店がゴリ押ししようとも、これだけのネガティブな事実を全国区で認知されてしまった「
デザイナー」を使いたい企業は今後ないだろうに、さらに刑法上の犯罪になりうる行為について「
公けに嘘をつく」という決定的なミスをしてしまった訳で、「
コーポレートガバナンス・コード」に従わなければならない上場企業はもう発注などできないだろう。
盗用疑惑は、決定的な上記のものの他にも、数十件は露呈しており、偶然の一致ではとても説明がつかないだけでなく、誰が見ても「
猿真似」と思えるものが本当に多い。本当に衝撃的だったのは、このような人物、このような企業が一種の「
ブランド」として祀り上げられ、実際に膨大な収益を上げていた事実である。
下世話だが、数年前にキャッシュで買ったと言われていたタワーマンションや、「
ミスター~」が入居するビルについても調べてみた。
剽窃と政治力だけで世渡りをしてきた自らに「
デザイン」の才がないことは本人が一番承知しているだろうに、現在の地位に恐怖を覚えたことはなかったのだろうか。
頭にくるのは、この男が「
才能」というものに一片の敬意も持っていないと思われることだ。本来、自分の名前で商売が出来る程のデザイナーには、「
才能」が不可欠であろう(あってほしい)。努力で一定の水準に至ることは可能でも、その先には行けないはずだ。
誰もが一流のスポーツ選手や音楽家になれるわけではないのと同じだ。
「
トカゲの尻尾切り」だという人もいるが、今回の騒動は「
デザイン」業界の暗部にメスが入る切っ掛けになった部分はあるだろう。
いずれ、「
捏造の科学者」や「
ペテン師と天才」のように、騒動の顛末をノンフィクションでまとめてもらいたい。「
剽窃のパクリエイター」とかそんなタイトルで。
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Amazon.co.jp次から次へとネット上にあふれ出てくる疑惑は一段落したところのようだが、悪事はいずれ暴かれるものだ。
それでも、家族への攻撃や不要な決め付けをする者もいるという負の面もある。「佐野一族は在日だ」という書込みはかなり多く見かけた。もちろん真偽は分からないが、「
在日だから犯罪者だ」という決め付けをしたがる者は一定の割合でいる。
日本人だろうと在日だろうと許せんもんは許せん。
「
在日認定」という言葉は、日本人と韓国人が正反対の動機で行うというジョークがある。日本人は「
犯罪者や好ましからざる人物」を在日とし、韓国人は有名人や著名人を認定したがるというものだ。
例えば、政治家にも帰化した朝鮮民族は多数いるが、政治主張を行う者は堂々と出自を明らかにするのが筋だと思う。それでも、一般人の中には自らの意思として出自を公にしていない人物もいるであろうし、犯罪者として検挙されるか反国家的な行動でもしなければ殊更暴き立てる必要もないだろう。
根拠らしいものとしては、「顔がそれっぽい」というもの以外には、「
ミスター~」が使っていたネームサーバーの名前が「
zyappu.com」(変更済)だからというもの位しかなかった。確かに、普通の感覚で言えばなぜそんな名前にするのか意味が分からないし、不快に思う人もいるだろう。だからといって、「
すわ在日か」というのも短絡的過ぎる。
タランティーノの映画で、
サミュエル・L・ジャクソンが「
Nigger」を連呼していたのを思い出したが、それと違って「ジャップ」なんて言われた経験のある日本人は多くないであろうし、最近ではそれが差別用語だということを知って驚く外国人も多いらしい。
久しぶりの更新でも、いつものように思いつくままにまとまりのない文章を書いてしまったが、最後に3つのポイントをまとめておきたい。
1.国家の威信を汚すような構造は利権だろうがしがらみだろうが滅びるべし
2.才能はたゆまぬ研鑽で花開くもの 汚すべからず
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