帚木蓬生『閉鎖病棟』です。同僚が貸してくれました。先日『白い夏の墓標』を読んでいたので、次はこれをどうぞ、という感じかな。

 内容は精神科の入院患者さんたちの物語。背景には戦争や貧困もあって、社会の問題を凝縮しているという側面もあるのでしょう。正論は、もっとオープンにということでしょうが、積極的にかかわる、もしくは当事者や関係者になる、というのは相当にしんどいこと。重たい作品でした。

 表紙が鶴瓶になっていて、映画化されていたんだ、とびっくり。この方はNHKのドラマで聴覚障害者の役もしていた気がする。表紙のデザインで、印象が変わって手に取りやすくなることはある、と思った次第。

 帚木さんの作品は、知る限りは問題作ぞろい。気軽に読みましょう、という類ではない気がします。でも、まずは手に取らないと、問題の存在にさえ気づけないものね。確かにこの表紙の方が、売れそうだわ。