平野啓一郎『本心』です。正統派の小説?を読もうと、平野作品を選んだのだけれど・・・なんかよくわからない。内容や文体が難しいわけではないけれども。

 2040年代、メタバースが日常化した日本。格差は広がり、豊かな「あっち」と、そうでない「こっち」の違いがくっきり分かれる時代。急逝した母親をAIで蘇らせた「こっち」の青年が、命とは、愛とは、と悩み問いかけ続ける・・・といったようなお話。

 2040年代は「自由死」を選ぶ社会になっている、という設定。それってすぐ来るじゃん⁈十数年後に、私も自由死を「選べる」の?なんじゃそりゃ。「十分生きた」「これ以上生きていたくない」等々の理由で、死を選べるって、個人の自由というような問題じゃなし。

 「尊厳死」「自由死」って何だろう。痛いのや苦しいのは嫌だから、最期は「安らか」であってほしいとは思うし、苦しんでまで延命をしたいと今のところは思わない。でも、気持ちは変わることだってある。生死は「予定」の立たないことなんだから。ま、自由死を「選ばされる」ことのないよう、富が偏重したり、資源が枯渇して人類を養いきれないような未来が来ないことを祈るわ。