ブレイディみかこ『リスペクト』です。ロンドンで実際に起こった公営住宅占拠事件を題材に、若いシングルマザーたちが住む場所を求めて闘う、といったようなお話。緊縮財政で真っ先に削られるのは福祉と教育、ロンドンオリンピックのために街をきれいにする、これは貧しい人々の住処を再開発という名のもとに奪って、高値の住宅を作るということ、ジェントリフィケーションというのだそうな。

 もう一冊はEテレの番組の書籍化『理想的本棚』、若い人への読書案内、若者でなくても面白そうなご本が並んでいます。

 「リスペクト」の方は、住むところが欲しいという個人的な要求から発して、世の中の仕組みの不正や理不尽を知って闘わなくてはならない、という社会全体への視点に導かれるもの。「理想的~」は、将来が見えない時に読む本、もう死にたいと思った時に読む本、などのテーマに分けての紹介。こちらも全くもって個人的な悩みですが、思考によって内面を深く掘り下げる、という方向に導いていくご本が多い。

 社会という外部に向かうか、自身の内面に向かうかの違いはあるけれど、どちらも自分の頭で考えなさい、ということなのでしょうね。感情が人を動かすきっかけではあっても、問題を解決するには思考力が必要だ・・・って、、無理矢理二冊の共通点を探してこじつけた感じだけれど。