姜尚中『母 オモニ』、小説です。といっても全くのフィクションではなく、在日1世である著者の母の、厳しくすざましく逞しい人生が描かれています。

 太平洋戦争勃発の年に海を渡って日本に来た少女が、故郷への思いを抱きつつ、戦争と差別の時代を生き抜いて、日本に根を下ろしていった数十年。一人の女性の人生であるだけでなく、そのまま日本と朝鮮の歴史に重なるもの、疎かにはできない気がします。

 姜尚中の小説は二冊目ですが、正直、読んでいて時々躓くような気がして、物語の世界から引き戻されることがあります。小説家ではないし、学者さんですから、その辺は仕方がないのでしょうねσ(^_^;)

 でも、中身は重厚。現代に引きずる日本と朝鮮半島との特別な関係をちゃんと知るべきだと、改めて思いました。今起こっている事象だけを見ていたら、真実は語れないと思う・・・歴史から学ばなくっちゃね。