フォトドキュメンタリー、林典子の『人間の尊厳』。若い女性のカメラマンが、様々な意味で「危ない」場所に単身赴いて、写真と文章で記録したドキュメンタリー。

 アフリカのガンビアの(どこにあるか知らなかったわ汗)言論弾圧に立ち向かうジャーナリスト、リベリア難民、カンボジアのHIV母子感染の少年、パキスタンで硫酸を顔にかけられた女性達、キルギスの誘拐結婚、そして3.11の日本。

 パキスタンとキルギスの女性の、人間の尊厳を踏みにじられた状況は、そんな馬鹿な、とにわかには信じがたい気さえしますが、まさに、「世界中にはニュースにならない現実が溢れている」

 カラー写真が多いので、岩波の新書なのに手に取るとずっしり重たく感じます。写真は痛々しいし、直視できないものもあるけれど、ちゃんと信頼関係を築いて撮ったもの。この小さな新書の中身も、分厚くて重たいです。