辺見庸の『もの食う人々』、何年も前から読まねば・・と思いながら勇気がなくて手が出なかった本です。

 さまざまな場面で人間が「ものを食う」姿は、現代の人間と社会をえぐった感じ、食欲がなくなる覚悟で読まないといけない。

 人肉喰い、残飯の売買など、ショッキングな事実が語られています。戦火の中の食事、刑務所の食事、チェルノブイリの汚染された食物。兵士や修道士、従軍慰安婦だった老女達、エイズで死の床にいる少女・・。人は生きている限り食わねばならない、生きなければならない。重いです。

 「食う」という行為の重さを、どう言ったらいいのか。やっと読み終わって、宿題を済ませた気分。でも、次の宿題が出てしまった・・・。