【登場人物】


【原作】裸足の大将 放浪日記 第1話 設定資料
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【おはなし】


以下の続き。


【原作】裸足の大将 放浪日記 第1話 その3
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(監督さんの「カァートッ!」以下は本編と関係ないので、カァートッしてください。(^ω^) )




◇ 何かしら、適当なシーンが続く。




◇ 翌日、東野の部屋の前を合田番頭が通りかかる。


それを見つけた東野主人が部屋に呼び込む。


東野主人 「おう、合田。ちょっと来い。」


合田番頭 「へい、なんですか。」


東野主人 「実は、昨日の件なんだがよう。


服部の言いなりになるわけじゃねえんだが、昨日一晩、あらためて考えてみたんだよ。


そしたらよう、昨日の件。 案外、悪い話じゃねえんじゃねえかって気がしてきたんだわ。」


驚く合田番頭。


合田番頭 「何をおっしゃってるんですか。本気ですか。」


東野主人 「おおよ。もちろん、あいつらが以前から持ちかけてきている買収の話は冗談じゃねえ。


だがよう、昨日、服部が持ってきた温泉街のPRの件はよう、そんなに悪い話じゃないんじゃねえかと思ってよう。」


合田番頭 「はっ?」


東野主人 「だって、考えても見ろよ。


たしかに、さやかには、あんな水着を着せちまって、いっとき、恥ずかしい思いをさせちまうかもしれねえがよう。


でも、 冷静に考えてみたら、『ただそれだけのこと』じゃねえか。」


自ら頷く東野主人。


合田番頭 「と、仰いますと。」


東野主人 「だってそれ以外に、俺たち、失うもの、何もねえんだぜ。


考えてみるとよう、これ引き受けるだけで、こんだけギャラが出てよう、


(このとき、東野が片手の指を何本か伸ばして、合田に非公式に打診されている金額を伝える。)


俺たちの旅館が全国紙に取り上げられて、温泉街全体に県から補助金が出るってんだからよう。


そんなに悪い話じゃねえんじゃねえかってよう。」


合田番頭 「(しばし沈黙して) そう言われてみると・・・。


私は何も損しませんね。」


東野主人 「だろぉ。 この旅館全体を端金で売り払っちまったら、手元に借金が残るばかりで、従業員たちも全員が路頭に迷うことになっちまうがよう、


冷静に考えてみれば、こっちの件は、そんな損もリスクも、何もねえんだよ。


昨日は、服部の例の馴れ馴れしい言葉に反発して、いつもの調子でかっとなって追い返しちまったがよう。


要するに、今回のは、あいつ(さやか)にちょっと我慢してもらやぁ済む話じゃねえか。」


合田番頭 「じゃあ、・・・引き受けてしまいますか。」


東野主人 「おう。だがよう、そのためにはよう、その前にあいつを説得しなきゃならねえんだ。


でな、その役目をおめえに頼みてえと思ってよう。


父親である俺が切り出したら、話が勧めにくくなっちまうからよ。」


合田番頭 「分かりました。 で、


こっちの方は・・・。」


指で輪を作る合田番頭。


東野主人 「おいおい。おめえ、今日まで世話になってきた俺にそんなことを要求すんのかよ。


おめえには、ちゃんと給料払ってんだろうがよ。」


合田番頭 「いやいや。それとこれとは話は別ですわ。


こういうことやからこそ、ちゃんとしとかなあかんと思いましてね。」


東野主人 「けどよう、おめえ、これはねえだろ。」


合田番頭の指を二本折り曲げて、こぶしに収める東野主人。


合田番頭 「いやいやいや。ここで折れてしまうような交渉人が本番において役に立つと思いますか。


ここで引いたら、難波の商人(あきんど)の名折れですわ。


せめてこれぐらいはいかんと。」


指を一本伸ばし直す合田番頭。


東野主人 「おいおいおい。 おめえも相当のワルだなあ。合田屋よう。」


合田番頭 「いやいや、これも日頃の東野様のお仕込みでございます。はっはっはっ。」


(悪漢契約を結ぶ東野主人と合田番頭。)


東野主人 「まあ、いい。


とりあえず、それで頼むぞ。


期限は今日の15時までだ。


それまでに返事をすることになってるんだ。」


合田番頭 「へい。分かりました。」


東野主人 「ああ、あとな。さやかには、これだけだって言っといてくれ。」


(東野主人が最初に伸ばしたときより、指が一本減っている。)


合田番頭 「分かりましたぁ。まかしといてください。」


東野主人 「いいかあ。ここがなあ、伸るか反るかの瀬戸際なんだ。


この話を受ければなあ、けっこうな宣伝にもなるし、馬鹿にならねえ補助金がうちの旅館に入ってくることになるんだ。


やっぱりこんなおいしい話を逃す手はねえ。


何が何でもあいつを説得するんだ。」


(↑自分の娘を売ることにした、わりと現実的な東野主人。)



(以下に続く)


【原作】裸足の大将 放浪日記 第1話 その5
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