ふだつきのキョーコちゃん 1巻
山本崇一朗
オレはシスコンじゃないけど
ほっとけないの!
3年連続で俺マンに選んだ『花もて語れ』の片山ユキヲ先生。
その元アシスタントだったという事で、注目せずにはいられない山本崇一郎先生の初単行本です。
なお山本先生は、ゲッサンminiで『からかい上手の高木さん』も同時連載中。
可愛くて人気のある妹キョーコと、彼女に近付く男には容赦しない凶暴なヤンキーの兄ケンジの、札月兄妹を中心に描かれるシスコンコメディ。
しかし、この妹のキョーコにはとある秘密が。
普段は兄に対して容赦無くツンツンしているものの……
ある条件が満たされる事で、素直でデレデレの妹になってしまうのです。
妹好き・ツンデレ好きの人は、素直になれないキョーコの可愛さに悶えるといいです。
私自身は妹属性もツンデレ属性も皆無です。
が、ハートフルな兄妹と、ケンジの想い人である委員長の日々野さんも加わったちょっと変わった日常劇は楽しんで読めました。
そういった趣味嗜好をお持ちの方には、激しくお薦めしたい作品です。
愚かだね…人間は…
『ウロボロス』17巻と同時発売となった、宮月新先生原作の神崎裕也先生の新作となる、ダークサイコサスペンス。
不気味な正体不明の黒スーツの男・宇相吹正(うそぶきただし)。
彼は依頼を受け、ターゲットの命を不可解な方法で奪って行く。
明らかに関与していると思われながらも、彼がどのように殺しを行っているのかは全く立証できない。
それ故に、彼は犯罪が実現する可能性が極端に低い状況での容疑者、不能犯と呼ばれる――
「無意識」や「思い込み」など、心理学・脳科学的な要素がたっぷり。
そして、この作品の見所は何と言っても歪みを抱いた人間の暗部。
疑心、嫉妬、怨嗟、欲望……ドロドロしたものが渦巻くブラックな内容になっています。
綺麗な絵で、醜い感情が綴られていく今作。
内容に一捻りあって面白いですが、後味はかなり悪いので人は選ぶでしょう。
ノワールやクライムサスペンス好きの方にオススメです。