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「劇場版HUNTER×HUNTER ~緋色の幻影~ 」。

ジャンプ描き下ろしの番外編と、冨樫義博先生のインタビューも載っている第0巻欲しさに観に行きました。

映画本編は惨憺たる評価を数多く聞いており、某所では週間興収は初週一位なのにレビューが5点満点中1点台という驚異的な低得点をマークしておりました。

日テレの特番も観て、一ハンターファンとして楽しみにしていたのですが……





ああ~……(頭を抱える)


どうしてでしょうね……
どうしてこうなってしまったのでしょうか……

原作へのリスペクトは殆ど感じられず、脚本の都合により動かされるキャラ達を観るのは辛かったです。

開始5分で諦めが付きました。
そして、もうこれは原作とは全く別物の二次創作として考えるべきなのだなと悟りました。

原作を愛している人程、辛く悲しい思いをしそうです。
少しは楽しめる部分もあるのですが、それを台無しにして余りある脚本と設定。

子供向けというにも過不足のある内容です。

又、オモカゲ役の藤木直人さんはまだしも、パイロ役の川島海荷さんの声は致命的に浮いてましたね。

それに比べるとゲストキャラのレツを演じた平野綾さんは本職の上手さが光っておりました。
ハルヒと同じ声である事を感じさせない演技でした。
ただ、そもそもレツというキャラ自体が……という悲しみ。


ちなみに、貰った0巻の冨樫義博先生インタビューには物凄く衝撃的な事が書かれておりました。

0巻の描き下ろし漫画自体は流石のクオリティですし、インタビューも面白いですし、ファンであれば0巻を貰いに行く為と割り切って足を運ぶのもアリでしょう。

或いは、面白い物を楽しむ為につまらない物も味わっておく、そんな心構えで。


20点。

以下はネタバレ雑感。
主に100を超える突っ込み所について。


























最初の子供向け演出から早速これじゃない感。
ワンピースやナルトなら兎も角……
ジャンプ漫画とはいえ、蟻編を引き合いに出すまでもなくかなりブラックな描写もあるハンターを子供向けとして扱うのは無理がありますよね。
と思っていたら冒頭から暗殺シーン&子供達虐殺ですし、後半には剥き出しの転がった目玉なども出て来ますし。
親子で観に来たとしたら、ちょっと嫌悪感を催すかもしれません。

そして、ゴンとキルアの最初の会話内容からもう薄ら寒さが。
余りにも不自然かつ意味の無いただの掛け合い。
最後の添乗員さんのリアクション含めて、この時点でもう駄目だと感じてしました。
大体、クラピカが窮状にあるから向かっているというのに暢気過ぎますよね……?

そして、この話は一体いつの事なのか。
状況的にはヨークシンオークション編とGI編の間っぽいですが、話の流れを考えるとこんな事をやっているタイミングはない筈。

タクシーの中での会話も盗み聞きされたらまずいであろう内容なのに、無警戒過ぎるような。

クラピカは何でオモカゲの場所が突然幻視できたんでしょうか。

ゴンとキルアが二手に分かれて手掛かりの場所を捜索している時、キルアは既にそれらしき地形を発見していたのに何故黙っていたのか?
レツを警戒してるなら、その場で強引にでも分かれればいいだけの事。

破岩弾て……ウボォーはいつから操作系になったのか。
そして原作でやっていたように自分の腕力で投げた方が強そうに思えるのですが。

まさかの陰獣&パクノダ登場はテンション上がりましたが、能力を使う間もなく一瞬で退場して肩透かし。

そういえばレツが人形を預ける件も要らなかったような。

オモカゲは相手の心から人形を作れるなら、イルミだけでなくネテロ会長やシルバやゼノの人形も作れば良かったのでは?
若くないと嫌なのかな?(笑)
それにしても、アルカやカルト、ヒソカ辺りの人形は作成可能ですよね……。

そもそも、オモカゲの能力が便利かつ万能過ぎます。
流石に人形は本体より弱体化してるとはいえ、少なくともウボォーギンのビッグインパクトの威力を再現できる位ではあるようで。
それでいて体数にも特に制限が無さそう。
明らかにオーバースペックです。
そして、念能力はおろかベンズナイフまで実体化して、人形がやられた後も実体を保ったまだったんですけど。
完全にコルトピ涙目ですよ。
コピー系の能力はバランスを取るのにもっと気を遣われるべきですね。
それこそ団長の盗賊の極意のように。
もし、団長にこの能力が盗まれていたら実に厄介そうですね(笑)

更に、話が終わってもその発動条件が判然としないのもどうなのでしょう。
これだけの能力であれば相当厳しい誓約と制約がある筈ですし、それをかい潜ろうとする所に駆け引き、バトルの面白味が生まれる筈です。
冨樫義博先生ならば、絶対にそのようにした筈。
オモカゲ自身の過去も描く事でその深みを増すとかしていたかもしれません。

人形フェイタンは巻き添えがあるにしろ、人形団長はもっと強力な能力を所持していそうなのにほぼナイフによる白兵戦というのが何とも。

ゴンがイルミの杭を抜けないのは最早ギャグ。

何故、最後に旅団はクラピカを拉致監禁せず去って行ってしまうのか?
旅団ならクラピカを自殺させないようにしつつ拘束する程度造作もないでしょうに。
シャルナークで操作しても良いですし。

最後のゆずの爽やかな歌も、単体としてはいい歌かもしれませんが全く作品内容には合っておりませんでした。

取って付けたように出て来たビスケやカイト、ジンはまあファンサービスとしては。

クラピカメインだと思わせるタイトルや宣伝展開でありながら、実質キルアメインというのも批判されて仕方ない部分でしょう。
しかも、原作を読んでいる人間にとっては蟻編でのイルミの支配からの脱却を知っています。
従ってこの物語中で解決しない事も解っています。
殊更キルアが強調されて冒頭から何度も描かれていましたが、まるで力点がズレているとしか思えないのです。

次回作もあるという事で……
次こそは是非もっとしっかりした物を作って欲しいのですが……。
今の監督と脚本のままでは難しそうです。

勿論、原作とて完璧でない部分や矛盾する点はありますが、それにしても今作に比べればとても綿密に練り込んであるなぁと改めて思わされました。


ある意味、ここまで酷いと逆にネタとしては申し分ないので、実況しながら観ると楽しめるかもしれません。