僕と彼女とギャルゲーな戦い
西村 悠



この世界には強い人なんていないんだよ。いるのは弱さを自覚していない弱い人と、弱さを自覚している弱い人だけ


60社受けて未だ無い内定で燻っていた嶋谷一の元に現れたのは、高校時代憧れの先輩。
彼女に導かれて辿り着いた先はギャルゲーの開発会社だった――


現役のゲームシナリオライターの西村悠先生が、リアルに描いたゲーム開発現場。


扱っている物こそギャルゲーですが、本質は「仕事そのもの」を題材とした作品。
丁度、ゲーム会社を舞台にした漫画「大東京トイボックス」と同様ですね。

キャラクターの個性という点からも「大東京トイボックス」を彷彿とします。


シナリオライターという立場からの夢やプロに関する理想と現実のお話。


〆切、延期、謝罪、連絡違い、関係者の逃亡、過労によるダウン……

ゲーム会社でなくても、社会でよくある光景に同情と涙を誘われます。


最近よく取り沙汰される青少年健全育成に関する条例や法の件も、「大東京トイボックス」を思い出す一因ですかね。


一方で、どんな業態にせよやり甲斐を見付け人を喜ばせる為に奔走する姿は尊く、こうありたいと物です。



冒頭のギャルゲーに関しての陳述には頷く事頻り。

個人的にここ十数年に触れた媒体の中で、一番感動して涙を流したのも、心底震える程面白いと思ったのも、絶対数はノベル系ゲームが一番でした(その辺りの理由に関しては、こちらの記事 にて詳しく書いてます)



創作とビジネスの境界線を引くのは難しい作業です。

しかし、個人的にはそこに携わりたいという想いは捨てられません。
私も、サウンドノベルを作りたい!


そういえば作中に出て来る「くちなしの夜」や「たんぽぽ草」は、「かまいたちの夜」、「弟切草」ですねw


ゲーム業界やシナリオライターに興味がある方にお勧めです。


70点。