米澤 穂信
文藝春秋
発売日:2010-06-10
この先では、不穏当かつ非倫理的な出来事が発生し得ます。
それでも良いという方のみ、この先にお進みください。


先日、藤原竜也さん主演の映画も放送されたサスペンスミステリ。

時給11万2000円のバイトは、閉ざされた空間・暗鬼館で行われる死のゲームであった――



「シークレットゲーム」(レビュー記事 )のような作品ですね。


私はこの手の作品(「Cube」、「Saw」、「バトルロワイヤル」、山田悠介作品、「空ろな箱と零のマリア(3・4巻)」など)が好物で、積極的に摂取しています。


もう設定・ルールを読んでいるだけでワクワクしてしまうものです。

それは、「そこでどうするか」という想像が容易に楽しめるからですね。

与えられた条件下で取りうるどのような行動が最善か、

そうした場合、他の人物の心理や行動に与える影響はどうなるか、

この人物の言動は信じていいのか、

などなど、様々な思考を巡らす楽しみに溢れています。

そして、その想像の埒外から作者によって鮮やかな展開を見せられた時は、格別な快感に酔えます。

制約がある、ゲーム性の強い物語に私が魅力を感じるのはそこです。

「ジョジョ」や「HUNTERXHUNTER」の面白味も、一つにはそういった側面があるでしょう。


そんな訳で、色々と想像を巡らせながら楽しく読ませて頂きました。

全体的な印象としては、「面白かったけど惜しい」という感じですね。


ミステリ好きの心を擽るポイントが一杯あるのは嬉しい所ですが、もっとスマートに伏線を張って回収する事は出来たのではないかな、と。


キャラの個性ももうちょっと序盤で描写があった方が良かったです。



確か名前は、アンキパン。

ここは<暗鬼館>。


のような、ちょっとしたお巫山戯交じりの文章は嫌いじゃないですけど。


でも、こういったタイプの作品が好きな方は十分楽しめる作品ではあると思います。



65点。



小説を読んだので、録画した映画版も観てみようと思いますが、世間では酷評の嵐ですね(^^;)

ハードルを下げて、今夜にでも見てみましょう……