韓国文学を読んでみようと思い立ち、ハン ガンの小説に続き、キム ジュンヒョクの『楽器たちの図書館』を読みました。

 

『楽器たちの図書館』には、8つの短編小説が収められています。

 

タイトルが『楽器たちの図書館』とあるように、音(楽器の音、人の声など)をテーマにした小説集です。

 

こだわりはあるが力んでいない。けれど諦めていない。そんな感想を持ちました。

 

「ガラスの盾」という短編に、電車の中、糸を持って歩くという場面があります。

読んでいて自分もやってみたくなりました。

 

そんな行動をしたら、車内の人びとはどのような反応をするのだろうか?

おもしろそうだからとやりはじめて、その間に自分の感情は変化するのだろうか?そんなことを確かめたくなりました。

 

「無方向バス」という短編は、母親が失踪してしまう話です。

失踪の背景に、父親の暴力を滲ませています。

 

家の庭からは、坂の下のバスターミナルが見える。

いなくなった母親は、何かを思いながらバスターミナルを見ることがあったのだろうか?

 

時々、私も消えてしまいたくなる時があります。

人づき合いが苦手な私は、人とのつき合い方がわからなくなり、苦しくなり、怖くなり、消えてしまいたくなります。

 

でも、消えない。

一人になるのは寂しいからというのもありますが、切れそうな細い糸であっても、静かに、そっとそっと紡いでいく。

そんな感じで、生きていくのだろうなと思います。

 

 

 

『そっと静かに』新しい韓国文学 2

キム ジュンヒョク/著

波田野節子;吉原育子/訳

クオン 2011.11(初版第1刷)