以前書いた「将棋大会申し込み忘れ事件」に関連して、条件を勝手に仮定して考察してみようと思います。(現実的な条件じゃない可能性が高いですが、ご容赦下さい。)

  • あなたは県の高校文科系部活連合の将棋担当者です。(実際の高文連と同様の物を想定しています。)
  • あなたの県には260校の高校があり、そのほぼ全てがこの連合に所属しています (連合の会員は高校生ではなく高校です)。
  • あなたは、1年に1度、連合の将棋大会を開催しなくてはなりません。
  • 将棋大会には例年60校程度、240人程度の参加があります。
  • 将棋大会の会場については、連合所属の高校が激安で快く貸してくれるので、選定に困ることはありません。また、充分な広さ、充分な数の机・椅子があります。
  • 連合は充分な数の盤・駒・対局時計を所有しています。
  • あなたは連合の専任職員ではありません。連合には専任職員が存在しません。
  • 将棋大会へは高校が参加を申し込みます。高校生ではありません。
  • 将棋大会の要綱、及び締切日時は全ての会員高校が知ることができる状態になければなりません。
  • 将棋大会へ高校生を引率してくる各校の教員 (60人程度) に依頼すると、将棋大会当日朝早めに会場入りして運営を手伝ってくれるので、当日の運営人員は気にしなくて良いものとします。
  • 大会当日以外の各作業には人件費が発生します。「○月○日○時から○まで」と日時を指定した場合の人件費は1時間1500円 + 交通費 とします。一方、「○月○日までに仕上がればよい」という作業の場合 (依頼から締め切りまでに4週間以上の猶予がある場合)、会員校の教員が引き受けてくれるもの (空き時間に取り組むので無報酬で良い) とします。
  • 将棋大会の参加申し込みの取り消しは2週間前まで受け付けるものとします。
  • 過去に高校による参加申し込み忘れ事件が新聞や TV で取り上げられて強く批判されたため、参加したい高校生は「自分の高校が本当に参加申し込みをしたのかどうか」をほぼ随時確認できるようにする必要があります。

こういう条件だとしたらあなたはどういう運営をしますでしょうか。

さすがに当日の参加受付を考える人はいないと思います。

では、どういう形で参加申し込みを受け付けますでしょうか。

電話で参加申し込みを受け付けるとすると、電話番が必要です。これは時間を指定する拘束になるので、1日8時間として12000円の人件費が発生します。2週間の申込期間なら (平日だけ受け付けるとしても) 受付係だけで人件費12万円です。

往復葉書で受け付けるとなると、電話ほどではないものの、かなりの手間です。

e-mail 受付は上記よりははるかに省力化できます。ただし、e-mail は「送信したのに相手に届かない」という現象を完全に防ぐことができない仕組みであるため、参加申し込みを受け付けたという返信をしないと、高校側は本当に申し込みができたかどうか確認できません。そのため、それなりの手間がかかります。

そして、上記の方法は全て、参加取り消しの処理が結構大変です。

ですので、参加申し込みは web 受付1択が適切だと思います。


それに加えて、前年度参加した高校が今年度申し込みをしていない場合に、わざわざ連合から「今年度の参加申し込みがないのですが、本当に参加しないのですか」と確認する作業を増やすべきかどうか、考えてみていただきたいです。

期限までに申し込まなくても連合が必ず確認してくれるとなると、期限までに申し込む高校の数は激減するでしょう。私の予想ですが、ヘタすると参加したい高校の7割くらいが期限を守らなくなるように思います。学校数で言えば40校程度です。

電話をかけても高校側の担当者がなかなかつかまらないでしょうから、電話をかける回数は約80回。1回3分間の通話だとして4時間の労働、人件費で言えば6000円になります。

また、締切を守らない高校が本当に不参加かどうかを連合側が全て確認しなければならないとなると、連合側担当者の思考の注意容量をそれなりに費やしてしまいます。これは金銭に換算しにくい負担ですが、結構嫌な負担です。


やはり、どう考えても web 申込受付が最善である気がします。web 申込受付であれば、以前も書いた通り参加したい高校生自身が申し込みの有無を確認でき、申し込みがなされていない場合は自校の担当教員に督促することができます。つまり、連合側から参加意思の確認が一切不要になるのです。

そういうやり方に思い至らない古い人が連合事務を取り仕切ったりすると、いつまで経っても非効率な方法から脱却できず、人件費がやたらとかかる方法か、会員校の教員の負担がとても大きい方法か、いずれかしか選べないように思います。