「本当にありそうな怖い話~囲碁界の未来日記2050~ 」という空想話からの引用です。(以前も同じ引用をしていたらすみません。)

碁会所経営にも、似たような現象が起きました。ある繁華街には、かつて昭和の全盛期に10を超える碁会所が存在しましたが、2020年の時点でそれはたった1つにまで減っていました。ではこの碁会所の経営者には危機感があったか?というと、意外にもそうではありませんでした。他店が潰れることにより定期的に発生する「碁会所難民」のおかげで、自分の碁会所だけは常に盛況であるように「錯覚」していたからです。ある碁会所が潰れると、そこに通っていた常連客は通い場所を求めて、近くの碁会所に移動します。そこが潰れるとまた他所へ。

これを繰り返す中で、生き残った碁会所の経営者が何を思っていたかは、想像に難くありません。「他所様はどうやら大変なようだが、ウチはまだ大丈夫だ」、「あそこが潰れたのは、ウデが悪いからだ」、「続けてさえいれば、また良い時代は来るだろう」。よく観察していれば、あるエリアでの顧客の総量はなかなかの勢いで減っていました。しかし、生き残った碁会所にとってそれは意外と悪い話ではなく、変化も変革もしないままに、時は過ぎていました。そして気づいたときには、老朽化した設備、高齢化した顧客、そして何より自分自身が心も体も老化していることに気づきました。次は自分が、「碁会所難民」を生み出す立場となりました。

昨日の消滅可能性都市の話と同型だと思います。

人口を吸い取る側の市町村は、全体的な傾向を把握しにくいと思います。そして、吸い取られる側に回った途端に窮状に苦しむようになります。

自分が住む市町村で若い夫婦が子育てしやすい環境を作っていけば「この市町村でなら子どもを産んでも良い」と感じてもらいやすくなると考えています。そのように日本全国で若い夫婦が子育てしやすくなれば、ちょっとは出生率も改善すると思うのですけどね。

あ、もちろん、少子化は先進国病の一種 (子ども1人当たりの教育費を高めることが最適になってしまった社会) であることは理解しているつもりです。子育てしやすい街づくりは根本的な問題解決に繋がらないことは分かった上で、それでも身の回りでできることはやっておきたいのです。


私が住む市は、人口で言えば少々吸い取る側です。そのため、日本全体の少子化問題は少々実感しにくいだろうと考えています。

ですが、いつかは吸い取られる側に回ることになるでしょう。そして、吸い取られる側になってしまった後では打てる手が限られているでしょう。

どんな手が打てるのか、を考える最適な時期は恐らく「今」です。まあ、ここ10年間とか20年間とか、それくらいだと思います。


娯楽界全体だと、将棋はどういう立ち位置でしょうね。

30年ちょっと前に電子遊戯という強敵が現れ、これまで順調に成長してきて、長期的には将棋の減退傾向に歯止めがかかりません。

藤井聡太効果で数年間だけ増加も見られましたが、長期的傾向を打ち消せるほどではない、というのが私の感覚です。