11年も前の話で、しかも将棋分野ではなく social games の分野なんですが、価格感がわかると思うのでこの話を話題に取り上げます。小規模な social game についての当時の費用だそうです。(以前も取り上げたかも知れません。この blog の昔の記事を確認する余裕がないので、重複していたらすみません。なお、この日の話題と関連しています。)
- 初期開発費:100万円~400万円
- スタッフ人数:2人~3人(外注グラフィッカー含む)
- 開発期間:1ヶ月~2ヶ月
- 運営費:月30万円~100万円(人件費)
- サーバー代:月3万円~10万円
- 宣伝費:月0円(※ここが致命的)
- 売上:月5万~100万円
- 概要:儲かるらしいのでソーシャルゲーム作りましたパターン。間違いなく失敗する。(201209追記)このクラスはもう絶滅したと思う。
将棋大会・例会用 system を作るとすると、上記のうち「初期開発費」~「運営費」あたりが参考になると思います。
業務として開発をどこかに外注すると、費用は安くて数百万円、開発期間は上記よりかかるかも知れません。ただ、納期が設定されていないなら、別に外注しなくても将棋界の人が手の空いた時に少しずつ開発してもいいわけです。世の中の多くの OSS (OpenSource Software) はそういう形で開発しています。世の中でよく使われている Linux だって、元々は Linus Torvalds が大学生の時に作ったものであり、そこには報酬は発生していません。
ただ、ちゃんと運営 (運用) するとなると労力はかかります。労力が拠出できない (または技術力が足りない) 場合、金銭で解決できます (人件費=運営費)。
将棋大会・例会の場合、開催時間内だけ system がちゃんと機能すればよいので、上記の例ほどには運営費はかからない気がします。(新機能追加などの業務がありません。なお、不具合が発生したら対処は必要かと思います。)
なので、OSS だと「手が空いている人が空き時間に開発するから、開発費は不要ですよ」「運用のための労力は、大会主催者・例会主催者が負担して下さいね」という形にできます。将棋界の未来を考えると、この形が最善ではないかと思うのです。
そして、運用のための労力を拠出できない (または技術力が足りない) という大会主催者・例会主催者のために SaaS 提供業者があれば、更に理想的です。「我々 株式会社『棋援』は1日○円でこの system を運用します。豊富な経験に基づいて、当日に不具合が発生してもすぐに対処します」というような事業者が現れるとよい、ということです。
ただ、こういう事業者がこの SaaS 事業を黒字にするには、そこそこの数の利用者が必要なんですよね。結局、将棋人口の大小がこういう system の実現可能性を左右することになります。
こういうところこそ日本将棋連盟が担ってくれれば嬉しいのですが (支部会費を集めているのだからこういうところに投資してほしい)、力量的には厳しそうな気もします。