『ヒカルの碁』第2局でこんな場面が出てきます。

初めてこの場面を読んだ時、「うわ、最善の定義と最強の定義を区別するのか」と感じました。

以下、私の勝手な定義 (解釈) です。

  • 最善の一手 : 自分の手番の後、相手が最善手を選んだ場合に評価が最も自分に有利となる手。将棋 AI の方針と基本的に同じ。
  • 最強の一手 : 相手の計算資源を大量に消費させることで評価の期待値が最も高くなる手。多くの選択肢がある局面に引きずり込む。いわゆる「羽生マジック」はこれに含まれると思われる。

相手側の計算資源消費量なんて推測のしようがないので、主観的確率になってしまうのですけどね。


私の棋力でこんなこと書くのは大変恥ずかしいのですが、入門者と対局する場合、私は相手の思考負荷みたいなものを意識するようにしています。

…まあ、大したことはしていないのですが、例えば数の攻めの場合、こちらの攻めがギリギリ成立しないくらいの局面を2~4手くらい続け、その後に攻め駒を1枚足してみます。相手がすぐに対応してくれれば「数の攻めを理解している」となりますし、対応してこなければこちらもすぐに攻め込まずにもうちょっと待ちます。

「そろそろ飛車で攻めてもうまくいくかなあ、どうかなあ」などと呟いて相手の思考をこちらの戦場に誘導します。将棋 AI で言うと探索部に対して枝の優先度を提示する感じです。(こうすることで、先ほどよりも思考負荷は減っているのではないかと思います。)

それでも気付いてくれない場合…は悩みますね。思考を一旦誘導してしまったら、どこかで攻撃を開始するしかないのですが、こちらが龍を作ってしまうと強すぎて形勢が傾くので私にとっても難しくなります。

一旦作ってしまった自龍を打ち消すには、相手の駒台に角を送り込んで王手飛車を食らうのを待つなどの手を考えます。そのためには、数の攻めで最終的に龍が出来上がる地点に合わせて事前に自玉をちょうどいい場所へ持っていき、「あ、もしかして一気に勝てそうかも」などと呟いて自角と相手金を交換したり、などの手を考えます。

一気に攻め込む際は、こちらの攻めが最終的に届かないことを確認してからにしています。龍を作ってもあまり振り回さずに持ち駒を全部使い切る感じでバンバン打ち付けることが多いかも知れません。

まあ、棋力が低い人間の戯言と思って読み流して下さい。