前回触れた動画で、形勢評価値ならぬ好感(反感)評価値を考えてみて下さい。

将棋に対する子どもからの好感度 (反感度) が動画開始からどのように変動しているか、分かるでしょうか。

連続量では表現しにくいので、以下の5段階で考えてみて下さい。

  • 将棋って、駒を取ったり取られたりして、楽しいなあ。
  • 原因も分からず自分の形勢が悪くなるから、将棋は楽しくないなあ。
  • この対局は既に勝ち目がなく楽しめる要素がないから、早く対局を終わらせたいなあ。
  • 自尊心をズタズタにされたから、もう一生将棋はやらない。
  • 将棋は真面目に対局する価値もない遊戯だ。駒の動きなんか無視して将棋自体を侮辱してしまえ。こんな対局にした父親も大嫌い (恐らく一時的だが、父親とは会話もしたくない状態)。

入門者に対して普及を目指すなら、上から2段階目に落ちただけでもうダメです。私の予想ですが、この子は12手目 (動画開始から1分02秒経過時点) くらいでもう上から2段階目に入っています。多分、6分48秒経過時点で子どもの心理状態は取り返しがつかないところまで追い込まれています。

この動画、将棋嫌いの子どもを生み出す様々な言動が随所に埋め込まれていて、本当に参考になります。将棋を普及させたい全ての将棋関係者に見てもらいたいです。

この動画を視聴した後でも「駒落ちは8枚落ちから」とか「駒落ちは19枚落ちから」とか言う人がいたら、多分その人は将棋の普及に向きません。(ただし、子どもの相手が上手なプロ棋士はどんな手合いでもちゃんと接戦に持ち込んで子どもに勝たせてあげることができるので、プロ棋士が「私と対局するなら○枚落ちから」と発言するのはアリだと思います。)