今回の blog 記事は、あまり将棋と関係ない話題になります。

匿名の日記で、「私は民間企業を知らない 」というものがありました。地方公務員の女性が online の workshop で民間企業の女性たちと話をした、というものです。

 私が尋ねると、マーケティング彼女は考え込み、代わりに引き受けたのはインフラ企業研究職の女性だった。

 

地方のお年寄りはやることもなくてきっと寂しいよ。それに、自分の知っている地域の遊びとかを教えれば、子供も楽しんでくれるし嬉しいんじゃない?そうだ、忙しいワーキングママの代わりに子供の面倒を見てあげられればいいよ!ねえ、そういうの、いいんじゃない?」

 再び、いいねいいね合唱が響いた。

「確かに高齢化が進む地域子供が減ってるから、寂しいと感じる人もいるかもね。共働きのお母さんも仕事家事にで忙しいもんね。じゃあ、そのサービスは、どうやって収益を出すの?」

 私が再び尋ねると、今まで微笑んでいるだけだった自動車メーカー広報担当女性が、やや苛立った様子で言った。

「そんなの地方お金を出すんじゃない?だって、『地域が元気になる』んだよ?」

この後、この地方公務員の女性は、静かな口調ながらも文章で苛立ちを表現しています。その気持ちは分かります。地方自治体だって、お金を出すならそれなりの成果を求めるはずです。「地域が元気になる」のような曖昧な言葉で地方自治体がお金を出す、という考えが甘いことは分かります。

ただ、民間の立場からすると、お役所はとても無駄に費用 (と労力) をかけすぎるように見えることも事実です。低費用で済むような物事が、お役所の手にかかるとものすごく巨大な出費に化ける、ということが実はかなりあるのではないかと思われます。

ここで、とある将棋大会の話題になります。日本将棋連盟のアマチュア将棋大会紹介には記載されていない大会ですが、全国各県から代表者が集まる大会です (とある市が主管となっています)。この大会のとある年度の資料 (参加者向けの案内や事後の報告書) が web で公開されていたので、見てみました。

報告書によると、この大会は、競技者188名に対して、(競技日1日あたり) 160人以上の非競技者 (≒運営者、と思われます) が動員されたようです。…すみません、初めて読んだときは自分の目を疑いました。

私の解釈では、そのうち約50人は地方公務員です。地方公務員の平均年収と年間出勤日数から1日当たりの賃金を割り出し、共済保険料や福利厚生費などを考慮した倍率をかけて人件費を推測すると、人件費で500万円くらいにあたる労務をこの大会に提供しているように思えます。(ものすごく大雑把な推測なので、精度のツッコミはご容赦下さい。)

いえ、恐らくこの市が労務提供の負担をしているから、この市の住民ではない私が文句を言う資格はないのですよ。ただ、188人の競技者に対して非競技者の人数が多すぎませんかとか、人件費換算ですごい出費ですねとか、財政に余裕があるお金持ちの市なんでしょうかとか、ついつい余計なことを考えてしまいます。

大会参加者に配布したと思われる program は、60頁以上あります。PDF property、及び紙面からの推測ですが、恐らく印刷会社に組版を依頼しています (designer さんには依頼していないようです)。組版・印刷費は10万円~30万円くらいかと推測します。

これが民間だったら、60頁以上の program なんて作らないです。どうしても作らなければいけないなら、以下のどちらかの方針にすると思います。

  • お金がかかっても、designer さんにちゃんとしたものを作ってもらう (例えば商業出版ほどでなくてもコミケの出品物がどの程度の design なのか、こういう記事などを読むと感覚として分かりやすいかと思います)
  • Markdown + GitHub + Re:VIEW や Markdown + GitHub + Vivliostyle のような ecosystem に乗っかり、費用も労務も徹底的に節約する (面白みがなく堅苦しい紙面になりがちですが、それはもうとてつもなく節約できます)

うーん、何というか、お役所ってのはあんなにお金も労務も提供しているようで凄いな、っていうか…。