私が子どもの入門者相手に負ける将棋を指すようになったきっかけの2つ目は、わが県の小学生将棋大会におけるプロ棋士の方の指導対局を見たからです。

うろ覚えですが、8~10枚落ちくらいの手合いだったと思います。駒の動かし方は分かるけど攻め方などは分からない入門者相手に、プロ棋士の「と金」など成り駒3枚くらいを入門者の玉頭近くまで迫らせ、あとは頭金で詰ませられる状態までもっていきながら、無駄な手を指すことで詰みに持ち込まない。この入門者は、駒得ばかり考えて持ち駒が大量にあるので、「持ち駒を使って攻めてみてはどうかな?」と助言する。

最終的に、この入門者は助言を基に色々考えて、無事にプロ棋士の王将を詰ませることができました。プロ棋士が指導対局でどうやって手を抜いているのか (形勢の均衡を保っているのか)、どうやって一手違いの勝負に持ち込むのか、横で見ている私が初めてはっきり感じた対局でもありました。

指導対局の後、この入門者は本当に嬉しそうにしていました。知的刺激を与え、最後には子どもに嬉しさを与えることができるなんて、将棋は素晴らしい遊戯だ、と感じたのです。