著者の山本譲司さんは、現在、八王子の福祉施設のスタッフとして働いているのでしょう。
山本さんが、服役して時に、刑務所内で少なからぬ知的障害者たちを見てきました。彼らの世話を焼く担当だったそうです。出所後に書かれた本により、今まで、社会に知られていない触法障害者の存在が明らかにされました。
昨年は、NHK教育テレビの福祉ネットワークでも、受刑者の中に知的障害者が多くいることと、彼らの処遇が、福祉制度からも見放され、刑務所内でも、十分な処遇が難しい現状が紹介されました。しかし、山本さんの著作や発言により、今までばらばらだった厚生労働省と法務省の連携による試行が始まったばかりです。
今回は、同著の中に触れられていたもう一つの問題、聴覚障害者の犯罪について考えさせられることが多かったです。色々な問題が提起されていましたから。
2005年に、刑法40条がろう者の反対運動などを反映して、削除されました。
刑法40条 瘖啞者(いんあしゃ)ノ行為ハ之ヲ罰セス又ハ其刑ヲ軽減ス
瘖啞者というのは、ろうあ者と同じ意味です。実は、この法律以前の旧刑法82条にも同様の規定がありました。
旧刑法82条 瘖啞ノ者罪ヲ犯シタル時ハ其罪ヲ論セス
旧刑法の方は、ろう者が犯罪を犯しても罰せられることがありませんでした。当時は、不当にも、ろう者には教育が行き届いておらず、知能が低いので、健常者同様に扱うべきではないという考え方が採られていたからです。
刑法40条が削除されてから、刑務所内に服役するろう者の存在も目立つようになったそうです。山本さんも、刑務所内で、ろう者と接触しています。簡単な手話の本を差し入れてもらって、彼らとコミュニケーションを図ろうとしましたが、ろう者たちからは、自分たちの使う手話と、聴者の使う手話とは違うから、無駄だと言われたそうです。 実際、彼らが服役する前の、取り調べから裁判の段階でも、手話通訳者の間違った通訳が見られたということです。調書に書かれた内容が、自分の発言と違うことがあったというのです。通訳者の手話よく分からない、嘘通訳すると発言したということです。
ろう者の社会は、閉鎖的な社会の傾向があるといいます。その中で、ろう者がろう者に対して、手話を使って犯罪を犯すこともあるといいます。また、2005年5月26日に、大阪地裁で懲役11年を言い渡された、当時27歳の被告人のろうの男性は、その一年前に恐喝罪で逮捕されるまで、大阪市の東淀川区内に、構成員30名ほどの暴力団組織を構えていたそうです。ある指定暴力団の傘下に入っていたそうです。そして、驚くべきことは、この組の構成員全員がろう者だったということです。
なお、犯罪者はどの社会にも存在する訳ですから、ろう者の間に多いということではありません。
※最近、近隣の市で、手話サークルに見学の形で参加し、手話と使うことでろう者を安心させ、金銭を詐取する事件があったそうです。地元にも、気を付けるようにという情報が入りました。全国紙のニュースでも、手話の得意な聴者の女性が、ろう者たちから多額の金銭をだまし取ったというニュースがありました。聴者が手話を使うことで、気を許してしまったそうです。
さて、犯罪を犯して、裁判にかけられても、字の読み書きが出来ない上に、手話も出来ないろう者がいるケースもあるそうです。こうした場合、公判停止になります。裁判それ自体が出来ないことになるということです。
ろう文化と聴者の文化の違いを認識することが、重要であるということを、山本さんは述べています。そうしたことを、知るために、所沢市国立身体障害者リハビリテーション学院手話通訳学科の教室へ、木村晴美さんを訪ねています。ろう者から、NHK手話ニュースで、聴者がキャスターの時は、絶対に見ないという話を、山本さんは聞いたことがあるそうです。木村さんが、キャスターの時と違い、何と言っているのかほとんど理解できないからだという理由だそうです。
木村さんは、1995年に「ろう文化宣言」を発表しています。 木村さんの話として、次のような事が紹介されています。「ろう者が聴者と口話で話すのは、防音装置付きのガラスの部屋に入って、その外にいる外国人が話している外国語を理解するようなもの。日本語対応手話は、頭の中で翻訳しながら見なくてはならないので、非常に疲れる。20分が限度。でも、自分たちが置かれている現実について、何も疑問に思っていないろう者がいることも事実です。それに、自分達は聴者と違う独自の文化を持っているということを、まるで自覚していないろう者もいます」
手話通訳者の立場からの法律・裁判のハンドブックが出版されています。
今後は、法律に詳しい手話通訳者、医療現場に詳しい手話通訳者、芸術関係に詳しい手話通訳者等の分化が図られることが必要となるでしょう。当然、福祉関係の専門家も。 一般通訳者は、ちょうど、家庭医のような立場になるのでしょう。
山本さんが、服役して時に、刑務所内で少なからぬ知的障害者たちを見てきました。彼らの世話を焼く担当だったそうです。出所後に書かれた本により、今まで、社会に知られていない触法障害者の存在が明らかにされました。
昨年は、NHK教育テレビの福祉ネットワークでも、受刑者の中に知的障害者が多くいることと、彼らの処遇が、福祉制度からも見放され、刑務所内でも、十分な処遇が難しい現状が紹介されました。しかし、山本さんの著作や発言により、今までばらばらだった厚生労働省と法務省の連携による試行が始まったばかりです。
今回は、同著の中に触れられていたもう一つの問題、聴覚障害者の犯罪について考えさせられることが多かったです。色々な問題が提起されていましたから。
2005年に、刑法40条がろう者の反対運動などを反映して、削除されました。
刑法40条 瘖啞者(いんあしゃ)ノ行為ハ之ヲ罰セス又ハ其刑ヲ軽減ス
瘖啞者というのは、ろうあ者と同じ意味です。実は、この法律以前の旧刑法82条にも同様の規定がありました。
旧刑法82条 瘖啞ノ者罪ヲ犯シタル時ハ其罪ヲ論セス
旧刑法の方は、ろう者が犯罪を犯しても罰せられることがありませんでした。当時は、不当にも、ろう者には教育が行き届いておらず、知能が低いので、健常者同様に扱うべきではないという考え方が採られていたからです。
刑法40条が削除されてから、刑務所内に服役するろう者の存在も目立つようになったそうです。山本さんも、刑務所内で、ろう者と接触しています。簡単な手話の本を差し入れてもらって、彼らとコミュニケーションを図ろうとしましたが、ろう者たちからは、自分たちの使う手話と、聴者の使う手話とは違うから、無駄だと言われたそうです。 実際、彼らが服役する前の、取り調べから裁判の段階でも、手話通訳者の間違った通訳が見られたということです。調書に書かれた内容が、自分の発言と違うことがあったというのです。通訳者の手話よく分からない、嘘通訳すると発言したということです。
ろう者の社会は、閉鎖的な社会の傾向があるといいます。その中で、ろう者がろう者に対して、手話を使って犯罪を犯すこともあるといいます。また、2005年5月26日に、大阪地裁で懲役11年を言い渡された、当時27歳の被告人のろうの男性は、その一年前に恐喝罪で逮捕されるまで、大阪市の東淀川区内に、構成員30名ほどの暴力団組織を構えていたそうです。ある指定暴力団の傘下に入っていたそうです。そして、驚くべきことは、この組の構成員全員がろう者だったということです。
なお、犯罪者はどの社会にも存在する訳ですから、ろう者の間に多いということではありません。
※最近、近隣の市で、手話サークルに見学の形で参加し、手話と使うことでろう者を安心させ、金銭を詐取する事件があったそうです。地元にも、気を付けるようにという情報が入りました。全国紙のニュースでも、手話の得意な聴者の女性が、ろう者たちから多額の金銭をだまし取ったというニュースがありました。聴者が手話を使うことで、気を許してしまったそうです。
さて、犯罪を犯して、裁判にかけられても、字の読み書きが出来ない上に、手話も出来ないろう者がいるケースもあるそうです。こうした場合、公判停止になります。裁判それ自体が出来ないことになるということです。
ろう文化と聴者の文化の違いを認識することが、重要であるということを、山本さんは述べています。そうしたことを、知るために、所沢市国立身体障害者リハビリテーション学院手話通訳学科の教室へ、木村晴美さんを訪ねています。ろう者から、NHK手話ニュースで、聴者がキャスターの時は、絶対に見ないという話を、山本さんは聞いたことがあるそうです。木村さんが、キャスターの時と違い、何と言っているのかほとんど理解できないからだという理由だそうです。
木村さんは、1995年に「ろう文化宣言」を発表しています。 木村さんの話として、次のような事が紹介されています。「ろう者が聴者と口話で話すのは、防音装置付きのガラスの部屋に入って、その外にいる外国人が話している外国語を理解するようなもの。日本語対応手話は、頭の中で翻訳しながら見なくてはならないので、非常に疲れる。20分が限度。でも、自分たちが置かれている現実について、何も疑問に思っていないろう者がいることも事実です。それに、自分達は聴者と違う独自の文化を持っているということを、まるで自覚していないろう者もいます」
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今後は、法律に詳しい手話通訳者、医療現場に詳しい手話通訳者、芸術関係に詳しい手話通訳者等の分化が図られることが必要となるでしょう。当然、福祉関係の専門家も。 一般通訳者は、ちょうど、家庭医のような立場になるのでしょう。
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