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好きな童話、絵本は?
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僕は、絵本を読むのが大好きです。子ども向けに書かれたものでも、その描かれた世界は、大人に対しても多くのことを気付かせてくれます。忘れてしまった大事な記憶や、人生の意味までも、読者の年齢に応じた多様な世界を提供してくれます。
今までに読んだ絵本の中で好きなものといわれても、答えはたくさんあるということになってしまいます。今回は、その中から『ねこのジョン』について書いてみたいと思います。
なお、この作品は、1979年1月の発行で、作者はなかえよしをさんで、絵は上野紀子さんです。
今年は、国際生物多様性年です。この地球には、たくさんの生物たちが生きています。まだ、人間に発見されていないものも多く存在すると考えられています。一見すると、人間にとって都合の悪い存在、例えば、毒を持った生物や害虫だって、この世界には必要なんです。僕たち、人間が進化してきて、今もこの地球で生きていけるのも、自然界の生物の多様性のおかげなのです。それぞれが、どこかでつながっています。孤立した生物なんて存在しないのです。でも、人間のせいで、今や、世界中で、多くの生物の種が滅びるリスクが高まっています。
モア、リョコウバトなどの鳥の仲間も、人間により絶滅に追い込まれました。童話「不思議の国のアリス」に登場するドードーという鳥も、人間のせいでこの世から姿を消しました。生物の多様性が失われた時は、人類の存続も危うくなることを認識する必要がありますね。
人間の世界をみても、文化の多様性が守られることはとても大事なことです。色々な人がいて、色々な考え方がある。一つの絶対的な考え方しか許されない社会は、死んだ社会となります。
思想も多様である。生き方も、色々あっていいんですよね。金子みすゞの詩の中の「みんなちがってみんないい」という精神が大切だと思います。マイノリティの存在が否定される社会であってはいけないと確信しています。
そんな気持ちも、絵本の中では、簡潔な物語で表現できます。
『ねこのジョン』という絵本のタイトルの中に、もう、こうした思いが込められています。写真は、絵本の表紙です。見ていると、とても愛おしく思えてくる絵です。子犬と子猫が並んでいます。子猫はリズといいます。子犬が「ねこのジョン」なのです。犬なのに何故かって?
ジョンは、元々は捨て犬でした。この哀れな子犬を引き取って育ててくれたのが、ねこのお母さんでした。ちょうど、子猫を産んだばかりでお乳が出ていました。ジョンは、他の4匹の子猫たちと一緒に育てられました。幼いジョンは、自分のことをねこだと信じていました。でも、成長するにつれて、姿が変わっていきます。ねこの兄弟たちは、ジョンが違っていることを言うようになりました。
ジョンは、自分が何者なのか確認するために、自分探しの旅に出ます。自分の正体が分かるまでは、家に帰ってこないつもりでした。
その時、仲のよいリズがついてきました。他の兄弟猫とは違い、いつもジョンのことを気遣ってくれたねこでした。
二人の旅がどうなるのか、きっと、読者の子どもたちは心配して絵本を読んでいるんでしょうね。
でも、運が良かったのですね。あひると出会うことができたんです。このあひるに相談すると、あひるが言うには、自分はほかの鳥のようにきれいな声で鳴くことができない。空も飛べない。だから、ジョンがニャーと鳴けなくても、顔が違ったって問題ないじゃないかと言ってくれたのです。
違いがあったって、気持ちがつながっていればね。元気を取り戻したジョンは、リズと二人で家に帰りました。そして、他のねこたちにニャーではなく、キャンと鳴いてみろと言いました。以前、兄弟ねこたちにニャーと鳴けないことをからかわれたことがありましたので、今度は、逆の立場からそう言ったのでした。その時、ジョンが以前のようにキャンと鳴こうとしたら、今度はワンワンと鳴いてしまいました。すっかり、犬らしくなっていたのですね。でも、気持ちは、ねこのジョンでした。もう、兄弟猫たちも、ジョンをからかうことをしなくなりました。
そして、最後のページには、すっかり身体が大きくなったジョンと、兄弟ねこたちの絵が描かれています。客観的に見れば、もう、ねことは言えない姿でした。
でも、成長しても、ジョンはやっぱり猫でした。大きな、犬の姿をした猫でした。それでいいじゃないですか。
大切な事は、姿が違うことではないんです。