【米国市況】S&P最高値、議長は利下げ休止示唆せず-152円台後半
Rita Nazareth-
米国債利回り低下、ドルはFOMC後も軟調-原油と金は反発
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パウエル議長、12月に利下げを実施するかどうか言質与えず
7日の米株式市場では、S&P500種株価指数が3日続伸。終値で今年49回目の最高値更新となった。利下げを決定した米連邦公開市場委員会(FOMC)会合後のパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見を受けて、買いの勢いが強まった。議長は景気が堅調に推移していると指摘しながらも、今後の利下げ見送りを示唆しなかった。
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| 株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| S&P500種株価指数 | 5973.10 | 44.06 | 0.74% |
| ダウ工業株30種平均 | 43729.34 | -0.59 | 0.00% |
| ナスダック総合指数 | 19269.46 | 286.00 | 1.51% |
eToro(イートロ)のブレット・ケンウェル氏は「パウエル議長率いるFOMCは、米国が依然として堅固な経済基盤の上に立っていることを投資家に再認識させた」と指摘。「パウエル議長は12月に利下げを実施するかどうかについては言及しなかった。しかし、FOMCは労働市場や現在の米経済情勢について、数カ月前よりも安心しているように見える」と語った。
FOMCは政策金利を0.25ポイント引き下げることを全会一致で決定した。声明は「労働市場の状況はおおむね緩和してきた」とし、「失業率は上昇したが低いままだ」と指摘した。インフレが持続的に2%に向かいつつあることに関して「自信を深めている」との文言が削除され、インフレは当局の目標に向けて「進展した」と記した。
ルネサンス・マクロ・リサーチのニール・ダッタ氏は「利下げ見送りのサインはない。米金融当局が労働市場の低迷をハリケーンやストのせいにしなかったのは良いことだ。労働市場がおおむね緩和してきたとの判断を維持している。声明は12月の利下げ見送りを想起させない」と語った。
ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティテュートのルイス・アルバラド氏は「0.25ポイントの利下げは完全に織り込まれていたため、この日の会合は市場ウォッチャーにとって劇的な展開はほとんどなかった。2025年に米金融当局は、トランプ次期大統領の掲げる経済政策提案が最終的に実際の政策となるかどうか、またそれらの政策がインフレ、労働市場、全体の経済成長にどのような影響を与えるかを慎重に見極めていくことになろう。これまでと変わらず、金融当局は経済データに導かれるだろう」と語った。
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのホイットニー・ワトソン氏は「新たなインフレおよび雇用データに伴い、米金融当局は予想通り0.25ポイントの利下げを実施した。12月にも同様の措置が予想される。だが、より力強いデータと、財政および貿易政策を巡る不確実性は、金融当局が緩和ペースを減速させるリスクの高まりを意味する。2025年には「スキップ(1回見送り)」という言葉がわれわれの語彙(ごい)に加わるかもしれない」と述べた。
バンクレートのグレッグ・マクブライド氏は「米金融当局は予想通り0.25ポイントの利下げを実施し、ブレーキペダルから足を離し続けている。経済成長の堅調なペースは、9月に0.5ポイントの利下げを実施した際に見られたような緊急の対応を当局が放棄し、今後の金利引き下げをより慎重に、0.25ポイントずつ行うことが可能なことを意味する」と話した。
LPLファイナンシャルのジェフリー・ローチ氏は「過去2カ月間に金利が大きく変動したことで動揺していた投資家は、落ち着きどころを模索している。予想通り、投資家は今後数四半期の利下げの規模について不合理な期待を抱いていたが、赤字が焦点となる中で、市場は現実を見直さねばならない」と述べた。
米国債
米国債は上げ幅を拡大する展開。FOMCが予想通り0.25ポイントの利下げを実施し、パウエル議長が政策の見通しについて言及する中で買いが優勢となった。
| 国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 米30年債利回り | 4.53% | -7.6 | -1.65% |
| 米10年債利回り | 4.33% | -10.6 | -2.39% |
| 米2年債利回り | 4.19% | -6.9 | -1.61% |
| 米東部時間 | 16時52分 |
トランプ前大統領の返り咲きがインフレ加速につながると予想されているが、FOMCは失業率を低く抑えるために今年2度目の利下げに踏み切った。市場では選挙後、来年の追加利下げ見通しが後退している。
金利スワップ市場は政策金利が1年後には3.7%程度まで低下するとの見方を引き続き示している。1カ月前までは、3%前後まで低下するとの予想が織り込まれていた。
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの債券・流動性ソリューション部門グローバル共同責任者兼共同最高投資責任者、ホイットニー・ワトソン氏は「新たなインフレと雇用のデータを踏まえ、FOMCは予想通り25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げを実施した。12月も同じことが起こると予想している。しかし、より強いデータと財政・通商政策をめぐる不透明感から、FOMCが緩和ペースを緩めるリスクも高まっている」と述べた。
外為
ニューヨーク外国為替市場では、ドル指数がFOMC会合後も引き続き軟調な値動きとなった。FOMCは利下げを実施したが、将来の利下げペースについては手掛かりを与えなかった。
円は対ドルで一時、1ドル=152円70銭まで上昇した。
| 為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| ブルームバーグ・ドル指数 | 1260.11 | -9.79 | -0.77% |
| ドル/円 | ¥152.92 | -¥1.71 | -1.11% |
| ユーロ/ドル | $1.0803 | $0.0074 | 0.69% |
| 米東部時間 | 16時53分 |
ウェルズ・ファーゴのストラテジスト、アループ・チャタジー氏は「12月にスタンスを転換することはなさそうで、基本シナリオは25bp利下げだ」と指摘。「パウエル議長は財政・通商政策の変更が金融政策に与える影響について言及しないよう留意したようだ」と語った。
一方、マネックスの外国為替トレーダー、ヘレン・ギブン氏は「議長の発言からは、労働市場が引き続き持ちこたえれば、12月に間違いなく利下げを見送る可能性があると読み取れる。11月の雇用統計は、ノイズが多かった10月の統計の後だけに、極めて重要なものとなるだろう」と話した。
原油
ニューヨーク原油相場は反発。ドルが下げ、株式相場が上昇する中で買い優勢となった。

シティグループは、トランプ次期政権は原油相場にとって差し引きで弱気材料の方が多いと分析。増産見通しに加え、新たな関税措置が中国経済へのさらなる足かせになる可能性を理由に挙げた。
これに対してスタンダードチャータードは、トランプ氏が石油・ガスの掘削を奨励しても世界的な需要低迷とコスト上昇を理由に、それに応じる石油探査企業はそう多くないとの見方を示した。
INGグループのコモディティー戦略責任者ウォーレン・パターソン氏は「相反する要素がいくつかある」と指摘。原油相場に「強気になる材料としては、対イラン制裁強化の可能性や、2025年の米国内総生産(GDP)伸び率が一段と上振れるケースがある」と説明。一方で「連邦所有地での石油・ガス開発リースを増やす見通しやドル高が弱気材料だ」と述べた。
ハリケーン「ラファエル」は、カテゴリー3の勢力でキューバに上陸したが、今後は勢力が弱まると予想されている。沖合の石油施設への影響は限定的になるとみられている。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物12月限は、前日比67セント(0.9%)高の1バレル=72.36ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント1月限は71セント(0.9%)上げ、75.63ドルで引けた。
金
金スポット相場は反発。前日はトランプ氏の大統領選勝利を受けたドル高などを背景に、3%余り下げていた。
スポット価格は、広く予想されていた0.25ポイントの米利下げ決定後もおおむね同じ水準を維持。その後、パウエル議長の記者会見中に上げ幅を拡大した。
マックス・レイトン氏らシティグループのアナリストは、金相場が短期的に弱含みで推移する可能性が高いと指摘。その理由として、減税や規制緩和への期待を背景とした米国株の上昇を挙げ、アルゴリズム取引が相場下落時に下げを増幅させると述べた。
一方で、高金利を受けて米労働市場が悪化する可能性に言及し、金の強気相場をけん引する構造的要因は残っているとも述べた。
金スポット相場はニューヨーク時間午後3時12分現在、1.7%高の1オンス=2703.47ドル。ニューヨーク商品取引所の金先物12月限はFOMCの政策発表前に29.50ドル(1.1%)高の2705.80ドルで引けていた。
原題:Wall Street Has Best Fed Day of 2024 Across Assets: Market Wrap(抜粋)
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