【米国市況】株は小幅続伸、「買い疲れ」指摘も-ドルは一時151円台
Rita Nazareth-
30年債利回り低下、この1カ月余りの最低水準
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北海ブレント原油、7月以来のバレル80ドル割れ
8日の米株式市場では、S&P500種株価指数が8営業日続伸し、小幅高で終えた。マイナス圏で推移する場面もあったが、引けにかけて持ち直した。投資家の間では、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が9日に発言する際、市場のハト派姿勢期待に冷や水を浴びせるのかどうかが注目されている。
| 株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| S&P500種株価指数 | 4382.78 | 4.40 | 0.10% |
| ダウ工業株30種平均 | 34112.27 | -40.33 | -0.12% |
| ナスダック総合指数 | 13650.41 | 10.55 | 0.08% |
シティグループのデータによれば、米国債入札が株式相場に及ぼす影響は大きくなっており、2022年初め以降、国債入札日にはS&P500種が上下いずれかの方向に1%ほど動いた。これは、それ以前の10年間平均を上回っているという。
9日には30年債入札(240億ドル規模)が予定されており、株式投資家は警戒感を高めそうだ。
パウエルFRB議長は9日、金融政策の課題に関するパネル討論会に出席する。同議長は8日にも発言機会があったが、金利見通しについてコメントしなかった。
パウエル議長、経済予測で柔軟な姿勢をFRBエコノミストに要請
ミラー・タバクのチーフ市場ストラテジスト、マット・メイリー氏は「上昇相場に疲れが見えつつある」と発言。「長期金利の足元の動きについてパウエル議長が何らかのコメントをすれば興味深い」とし、「先週よりもう少しタカ派トーンなら、われわれが予想している相場『小休止』のきっかけとなり得る」と述べた。
スワップ市場では12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で利上げを見込む確率がほぼゼロとなっている。現在の政策金利が今回の引き締めサイクルのピークとなる可能性を示唆する。
オアンダのシニア市場アナリスト、クレイグ・アーラム氏は、各国・地域の中央銀行が金利は来年低下し得ると考えていたとしても、今の段階でそれを表明すると見込むのは非現実的だろうと指摘。政策金利はより高い水準でより長期間維持されなければならないという中銀のメッセージを台無しにし、混乱させるからだと述べた。
UBSグループのストラテジストらは、S&P500種が2024年末時点で約4600になると予想。これは現行水準をわずか5%ほど上回るに過ぎない。企業の利益率低下見通しなどを理由に挙げている。
米国債
米国債市場では中長期債が上昇(利回り低下)。10年債利回りは約4.5%に下げた。30年債利回りは需給懸念に逆行する格好で、この1カ月余りで最も低い水準に低下した。
30年債利回りは一時、前日比11ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)余り低下の約4.61%と、9月26日以来の低水準。50日移動平均線を7月以降で初めて下回った。これはテクニカル分析で利回り低下が続く可能性を示唆するサインとされる。
| 国債 | 直近値 | 前営業日比(BP) | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 米30年債利回り | 4.61% | -11.6 | -2.45% |
| 米10年債利回り | 4.49% | -7.6 | -1.67% |
| 米2年債利回り | 4.93% | 1.6 | 0.34% |
| 米東部時間 | 16時47分 |
原油相場の下落がこうした動きの背景にあるが、トレーダーの間では先週の米国債利回り低下を受けたポジションの再構築が主因との見方がある。
JPモルガン・チェースのストラテジストらは今週、一定のルールに基づいて売買を行う商品取引顧問(CTA)がポジション調整を進めることで、米長期債先物が買われるとの見通しを示していた。
この日実施された10年債入札(400億ドル規模)は、需要に関して強気と弱気の兆候が混在する結果となった。
ホイジントン・インベストメント・マネジメントのチーフエコノミスト、レイシー・ハント氏は、足元の米国債相場の回復は始まりに過ぎないとの考えを示した。米経済がハードランディング(硬着陸)に突き進むのに伴い、債券相場はさらに騰勢を強める見通しだという。ブルームバーグテレビジョンのインタビューに応じた。
米国債相場の回復、まだ始まったばかり-ホイジントンのハント氏
外為
外国為替市場ではドル指数が3日続伸。投資家が想定するハト派シナリオを米金融当局が引き続きけん制しようとするのか、当局者の一連の発言を見極めようというムードが広がった。
| 為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| ブルームバーグ・ドル指数 | 1262.11 | 1.20 | 0.10% |
| ドル/円 | ¥150.99 | ¥0.62 | 0.41% |
| ユーロ/ドル | $1.0709 | $0.0009 | 0.08% |
| 米東部時間 | 16時48分 |
円は対ドルで下落し、一時0.5%安の1ドル=151円06銭まで売られた。日本銀行の植田和男総裁は8日に衆院財務金融委員会で、賃金上昇を伴う持続的・安定的な2%上昇はまだ実現できていないとし、現行の金融政策は正当との立場を示した。
日銀の物価見通し、誤りがあったことは認めざるを得ない-植田総裁 (3)
ユーロはドルに対して小幅高で、3日ぶりに上昇。欧州中央銀行(ECB)チーフエコノミストのレーン理事は、ユーロ圏のインフレ率は最近2.9%に低下したが、ECBは「あまり安心していられない」と語った。
ECB政策委員会メンバーのナーゲル・ドイツ連邦銀行総裁は、ECBの物価安定回復の取り組みで最も難しい局面はこれからだろうと主張した。
原油
ニューヨーク原油相場は大幅続落。景気の軟化と潤沢な供給を示す兆候を消化しつつ、金利動向に関する手がかりを探そうと米連邦準備制度理事会(FRB)の当局者発言に身構える展開だった。
原油価格の国際的な指標である北海ブレント原油は、1バレル=80ドルを割り込んで引けた。80ドル割れは7月以来。2日間での下げは5ドルを超えた。ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は76ドルを下回り、約3カ月ぶりの安値。
イスラエルとイスラム組織ハマスとの戦争が供給障害につながるとの不安は後退し、トレーダーの焦点は足元の需給ファンダメンタルズに移った。中国では製油マージンが縮小すると同時に、石油と燃料の在庫が積み上がり、旅客機の利用もまだ大きく回復していない。中国経済全体では企業と消費者の信頼感が引き続き低く、政府の成長刺激策は奏功していないことがうかがえる。
供給サイドに目を向けると、ロシアの石油積み出し量は4カ月ぶりの高水準付近。米国石油協会(API)が発表した米原油在庫は先週1200万バレル近く増加した。原油先物のプロンプトスプレッド(期近2限月の価格差)も潤沢な供給を示唆し、期近限月のプレミアムはほぼ消失した。

WTI先物のプロンプトスプレッド
出所:NYMEX
APIによれば、米国最大の貯蔵拠点であるオクラホマ州クッシングで、在庫の増加幅が110万バレルを超えた。確認されれば6月以来の大幅な積み上がりとなる。米エネルギー情報局(EIA)は週間在庫データを8日に発表せず、15日に2週間分を明らかにする。
石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成される「OPECプラス」は、需要の先行きに依然明るい見方を維持している。サウジアラビアとロシアは11月最終週末の閣僚会合で、来年に入っても自主減産を継続するか決定する可能性がある。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物12月限は、前日比2.04ドル(2.6%)下げて1バレル=75.33ドルで終了。北海ブレント1月限は2.07ドル下げて79.54ドルで引けた。
金
ニューヨーク金は3日続落。トレーダーらは米金利動向の手がかりを得ようと、連邦準備制度理事会(FRB)当局者による一連の発言を吟味した。
パウエル議長、経済予測で柔軟な姿勢をFRBエコノミストに要請
クックFRB理事、市場へのリスク指摘-地政学的緊張の高まりで

金スポット価格
出所:ブルームバーグ
金スポット価格はニューヨーク時間午後1時30分現在、前日比17.61ドル(0.9%)安い1オンス=1951.84ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限も3日連続で下げ、0.8%安の1957.80ドルで終了。
原題:Stock Rally Shows ‘Buyer Fatigue’ as Bonds Climb: Markets Wrap(原題)
Bonds Climb After $40 Billion Sale as Stocks Waver: Markets Wrap(原題)
Treasury 30-Year Yield Falls to Lowest in More Than a Month(原題)
Dollar Steady Amid Yield Drop, Yen Bears Resurface: Inside G-10(原題)
Oil Slips Below $80 Amid Economic Concerns, Sufficient Supply(原題)
Gold Extends Drop as Traders Assess Rate Path From Fedspeak(原題)
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