【米国市況】ハイテク買い、AI熱でエヌビディア急伸-ドル146円台
Rita Nazareth-
23日のエヌビディア決算と25日のパウエル議長講演が関心集める
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米国債は売り再開、10年債利回りは16年ぶり水準に上昇
21日の米株式市場では大型ハイテク株の主導で相場が持ち直した。ただ、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演を数日後に控え、米国債利回りが上昇したことへの懸念も広がっている。
| 株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| S&P500種株価指数 | 4399.77 | 30.06 | 0.69% |
| ダウ工業株30種平均 | 34463.69 | -36.97 | -0.11% |
| ナスダック総合指数 | 13497.59 | 206.81 | 1.56% |
S&P500種株価指数はプラスで新しい週を開始。先週までは週間ベースで3週連続で下げていた。ナスダック100指数の上昇率は1%を超えた。テスラは7営業日ぶりに上昇。今年の株高を推進してきた人工知能(AI)ブームの火付け役、半導体のエヌビディアは8%を超える値上がりとなった。ブルームバーグがまとめたデータによれば、同社が23日に発表する決算では、前年同期比65%の増収が見込まれている。
オアンダの米州担当シニアマーケットアナリスト、エドワード・モヤ氏は「今週はハイテク株にとって重要な週であり、エヌビディアが何らかの良好な業績を発表するとの楽観が広がっている」と指摘。しかし実質利回りが上昇を続けるなら、株式相場は「苦しい局面」を迎えるだろうと続けた。
パウエルFRB議長は25日、カンザスシティー連銀がワイオミング州ジャクソンホールで開く年次シンポジウムで講演する予定で、投資家の注目を集めている。先週公開された7月連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨では、インフレが鈍化しない可能性を当局者の大半が懸念し、利上げ継続が必要になり得るとの見解が示された。
モルガン・スタンレー傘下Eトレード・ファイナンシャルのマネジングディレクター、クリス・ラーキン氏は「トレーダーらは今週のジャクソンホール会合で行われるパウエル議長講演の一言一句に注目し、FRBの考えを知る手がかりを探す」と指摘。「経済の底堅さが、より高い金利をより長くというFRBの姿勢を長期化させ得る現実に、焦点を絞った投資家もいるだろう」と説明した。
最新のブルームバーグ・「マーケッツ・ライブ(MLIV)パルス」調査に応じた602人のうち、3分の2がFRBはインフレ制圧に至っていないと回答。そして80%を超える回答者は、パウエル議長の講演がタカ派的なメッセージを強調したものになるとみている。
ジャクソンホールでのFRB議長講演は今世紀に入って以来、その後の株価を押し上げることが多かった。ブルームバーグインテリジェンスがまとめたデータによれば、翌週のS&P500種は平均で0.4%上昇している。
しかしトレーダーの記憶に新しい昨年の場合は、議長講演の翌週に株価は3.2%下落したという。パウエル氏はインフレとの闘いをやり遂げるまで引き締め政策を続けると言明した。
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個別株ではネットワーク用セキュリティーソリューションを提供する米パロアルト・ネットワークスは、ウォール街の予想を上回る年間請求額を見通したことから、株価が急伸した。英競争当局は半導体メーカー、ブロードコムによるクラウドコンピューティング企業ヴイエムウェアの610億ドル(約8兆9000億円)規模の買収計画を承認した。電気自動車(EV)のニコラが急落。最近起きたバッテリー火災が影響し、年間納入台数の目標を達成できない可能性があると警告した。
米国債
米国債市場では売りが再開され、10年債利回りは16年ぶりの水準に押し上げられた。経済が根強い底堅さを見せているため、利上げが終了した後も金利は高止まりした状態が続くとして、投資家はポジションを調整している。
| 国債 | 直近値 | 前営業日比(BP) | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 米30年債利回り | 4.45% | 7.3 | 1.68% |
| 米10年債利回り | 4.34% | 8.3 | 1.96% |
| 米2年債利回り | 5.00% | 6.0 | 1.22% |
| 米東部時間 | 16時50分 |
10年物インフレ連動国債(TIPS)利回りも上昇し、2009年より後で初めて2%を上回った。この後、10年債利回りも10月のピーク水準を超え、2007年終盤以来のレベルに上昇した。
売りは長期債に集中し、利回り曲線は傾斜を強めた。スワップ金利市場では来年の利下げ予想の織り込み具合が後退を続ける一方、今年の利上げプレミアムは小幅に上昇した。
債券市場はパウエル議長の講演がタカ派的なトーンを帯びると予想している。
ナットアライアンス・セキュリティーズのインターナショナル債券責任者、アンドルー・ブレナー氏は「テクニカル分析は債券弱気派の見方だ」と話す。ただし、「8月は商いが鈍く、休暇の週は流動性も低い。パウエル氏がタカ派的な見解を示すと世界は予想しており、何も恐れることはない」と述べた。
為替
10年債利回りの上昇を背景に、ドル指数は方向感が定まらない展開。投資家の関心は25日のパウエル議長講演に移った。
| 為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| ブルームバーグ・ドル指数 | 1239.88 | -0.65 | -0.05% |
| ドル/円 | ¥146.21 | ¥0.82 | 0.56% |
| ユーロ/ドル | $1.0895 | $0.0022 | 0.20% |
| 米東部時間 | 16時50分 |
ブルームバーグ・ドル指数は先週まで週間ベースで5週連続で上昇。この日は円以外の全主要通貨が対ドルで上昇。スイス・フランとスウェーデン・クローナ、ノルウェー・クローネが特に買われた。
ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの通貨戦略グローバル責任者、ウィン・シン氏はドルにとって利回り上昇は強い追い風だという。パウエルFRB議長が「ジャクソンホール会合でハト派的なメッセージを送る可能性」は、ドルに短期的にダメージを与えかねないと指摘した。
円は1ドル=150円を試しに行く可能性があり、「数週間先になるかもしれないが、そこには行き着く」と述べた。
スコシアバンクのチーフ為替ストラテジスト、ショーン・オズボーン氏は「先週公表されたタカ派的なFOMC議事要旨に比べ、パウエル氏の講演は若干ニュアンスが加わった内容になるかもしれない」とリポートで指摘。
「パウエル氏がインフレに関する表現を幾分か逆戻しする場合に備え、市場はジャクソンホールを控えてドルのエクスポージャーをいくらか減らす方向に傾斜するかもしれない」とも述べた。
原油
ニューヨーク原油先物相場は3営業日ぶりに反落。原油供給増加の可能性が意識されたほか、中国の経済成長減速に対する懸念が広がった。
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は1バレル=81ドルを下回って引けた。イラクのアブドルガニ石油相はトルコのセイハンのターミナルを通じた原油輸出の再開に関して協議する予定だと、ロイター通信が21日に報じた。またイランの原油輸出が8月に急増しているとの報道もセンチメントを弱気にさせた。
一方で市場は、このところの下落の要因となった中国の経済低迷にも引き続き注目している。中国人民銀行(中央銀行)は21日、8月の1年物ローンプライムレート(LPR)が3.45%に設定されたと発表した。7月の3.55%から10bp引き下げられたが、5年物LPRは4.20%に据え置かれた。
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CIBCプライベート・ウェルスのシニア・エネルギー・トレーダーのレベッカ・バビン氏は「金利の動きが落ち着く、ないし中国がより積極的な刺激策を示すまでWTIは下振れ方向で80ドルを試す展開が続く」と分析。「スプレッドを見ても分かるように、市場の引き締まった状況は現時点ではかなり織り込まれている。現在はマクロが再び注目されており、その注目材料は金利と中国だ」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物9月限は前週末比53セント(0.7%)安い1バレル=80.72ドル。ロンドンICEの北海ブレント10月限は34セント下げて84.46ドル。
金
ニューヨーク金相場は上昇。市場は今週ジャクソンホールで開催されるカンザスシティー連銀主催の年次シンポジウムに注目している。
ブルームバーグ・エコノミクスのアナ・ウォン氏は、25日に予定されているパウエルFRB議長の講演について「よりバランスの取れたトーン」になると予想。「政策金利を高い水準に長期間とどめる必要性を強調しつつ、引き締めサイクルの終了を示唆する」との見通しを示した。
金スポット相場はニューヨーク時間午後2時40分現在、前週末比0.3%高の1オンス=1894.69ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は6.50ドル(0.3%)上昇の1923ドルで終了した。
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