【米国市況】株が大幅安、地銀急落で懸念再燃-円買われ136円台半ば
Rita Nazareth-
パックウェストは27%超、ウェスタン・アライアンスは15%超下落
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安全資産への逃避の動きが加速、米国債利回りは急低下
2日の米株相場は大幅安。ファースト・リパブリック・バンクが買収されたことで前日はウォール街に安堵(あんど)感が広がったものの、この日は地銀株が売り込まれ、金融安定を巡る懸念が再燃。株式が幅広く売られ、安全資産への逃避の動きが加速した。
| 株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| S&P500種株価指数 | 4119.58 | -48.29 | -1.16% |
| ダウ工業株30種平均 | 33684.53 | -367.17 | -1.08% |
| ナスダック総合指数 | 12080.51 | -132.09 | -1.08% |
米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策決定をあす3日に控える中、地銀のパックウェスト・バンコープとウェスタン・アライアンス・バンコープは共に急落。パックウェストは27%超値下がり、ウェスタン・アライアンスも15%を超える下げとなった。S&P500種株価指数は一時2%近く下落。金融銘柄が重しとなった。
米地銀株に売り、パックウエスト一時42%安-次の破綻に疑心暗鬼 (1)
ゴールドマン・サックス・グループのパートナー、ジョン・フラッド氏は、弱気派のヘッジファンドトレーダーが株の売却に動いたほか、ロングオンリーの投資家も売りに加わったとリポートで指摘した。
オアンダのシニアマーケットアナリスト、エド・モヤ氏は「銀行業界の混乱は当面続きそうだとの見方から、急速に売りが広がった」と分析。「地銀を巡る根強い疑念やリセッション(景気後退)の確率上昇、米国が6月にデフォルト(債務不履行)に陥るリスクの高まりに注目が集まっており、リスク選好が広がる状況では全くなかった」と述べた。
こうした要素は全て、FOMCの今後の動きに対する投資家の不安感を強めるばかりだ。
銀行破綻に起因した金融ストレスに加え、当局は根強いインフレと経済減速を示すデータとの間で身動きが取れなくなっている。この日発表された3月の労働省雇用動態調査(JOLTS)によれば、求人件数は市場の予想以上に減少した。さらには、米債務上限の議論を巡る懸念も強まっている。
米求人件数、3月は959万件に減少-レイオフは20年以来の高水準 (1)
スワップ市場では、3日のFOMC政策決定についてはなお0.25ポイントの利上げが織り込まれているが、その後の追加利上げについては織り込み具合が後退。一方、年内の利下げに対する織り込みは強まっている。
米国債
米国債相場は急伸し、利回りが大幅に低下した。米地銀を巡る懸念が続いているほか、経済データで労働市場の軟化が示されたことから、投資家の資金が安全資産へと向かった。
| 国債 | 直近値 | 前営業日比(BP) | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 米30年債利回り | 3.71% | -9.8 | -2.57% |
| 米10年債利回り | 3.43% | -14.1 | -3.94% |
| 米2年債利回り | 3.98% | -15.9 | -3.84% |
| 米東部時間 | 16時51分 |
ブランディワイン・グローバル・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ジャック・マッキンタイア氏は「市場は与信のタイト化に感づき始めている」と指摘。「与信のタイト化はどのような形であれ、金融引き締めの遅行効果と同時に打撃を与える」と述べた。
6カ月物の米財務省短期証券(TB)レートが5%を突破。イエレン財務長官が連邦債務を上限未満に維持するための特別会計措置について、早ければ6月初旬に使い切る可能性があると指摘したことに反応した。
外為
外国為替市場では円が上昇した一方、ドルは軟調な展開。米銀行業界の健全性を巡る懸念と労働市場軟化の兆候から、リスクセンチメントが弱まった。
| 為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| ブルームバーグ・ドル指数 | 1228.86 | -2.11 | -0.17% |
| ドル/円 | ¥136.57 | -¥0.93 | -0.68% |
| ユーロ/ドル | $1.0999 | $0.23 | 0.21% |
| 米東部時間 | 16時51分 |
ブルームバーグ・ドル・スポット指数は一時0.2%低下。求人件数の発表前には0.2%上げる場面もあった。ドルは対円で200日移動平均の1ドル=137円を下回り、一時0.9%安の136円32銭を付けた。

出所:ブルームバーグ
原油
ニューヨーク原油先物相場は続落し、ほぼ4カ月ぶりの大幅安。薄商いに伴い、暗い内容となった米国や中国の経済指標の影響が増幅される格好となった。
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物はバレル当たり72ドルを割り込み、終値で3月24日以来の安値を付けた。米雇用市場や中国の製造業に関する低調なデータが重しとなった。前日はアジアの一部市場や英国が休場となる中、米国での出来高は昨年12月以来の低水準となっていた。

ICAPのエネルギースペシャリスト、スコット・シェルトン氏は「市場は投資家不在で砂漠のような状態だ」と指摘。「予測できそうな値動きを生み出す需給の材料がない」と話した。
スタンダードチャータードのアナリスト、エミリー・アシュフォード氏は「一段と前向きあるいはコミットしたトレーディング活動が見られるには、現物市場で需給引き締まりの兆候がある程度必要になる」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物6月限は、前日比4ドル(5.3%)安の1バレル=71.66ドルで終了。下落率は1月4日以降で最大。ロンドンICEの北海ブレント7月限は3.99ドル安い75.32ドル。
金
ニューヨーク金相場は反発。スポット相場は1カ月ぶりの大幅高となった。米債務上限を巡る懸念が強まっているほか、雇用関連指標で労働需要の軟化が示唆されたことから、安全な逃避先とされる金が買われた。
3月の米求人件数は予想以上に減少し、ほぼ2年ぶりの低水準となった。重要な中銀会合が控えているほか、米債務上限を巡る対立で時間的な猶予がなくなりつつある中、リスクに満ちた局面に入っており、金の魅力が高まっている。

ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は、前日比31.10ドル(1.6%)高の1オンス=2023.30ドルで引けた。スポット価格は一時1.9%高と、日中ベースでは4月4日以来の大幅上昇となった。