【日本市況】長期金利が急低下、日銀緩和維持決定で-円と株価は下落
上野英治郎更新日時
10日の日本市場は債券相場が大幅高(長期金利は急低下)になった。日本銀行が金融政策決定会合で大規模金融緩和の維持を決定、買い安心感から先物は上げ幅を拡大して10年債の一部は利回りが一時マイナスになった。円は対ドルで下落して日本株は値下がりした。

日銀の黒田総裁
Photographer: Samyukta Lakshmi/Bloomberg
日銀は10日、金融政策決定会合で長短金利を操作するイールドカーブコントロール(YCC)政策を軸とした大規模な金融緩和策の現状維持を決めたと発表した。長期金利の許容変動幅も上下0.5%に据え置いた。
黒田東彦総裁が自身最後として臨んだ今回の決定会合については、金融緩和策継続が決まる可能性が高かったが、市場機能に目立った改善が見られていない中でさらなる緩和修正への警戒感もくすぶっていた。
| 10日の金融・証券市場の動き-午後3時24分過ぎ |
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債券
債券相場は大幅上昇。新発10年国債利回りは0.385%と前日比11.5bp低下、日銀の許容上限0.5%を大きく下回った。日銀が決定会合で現状のYCC政策の据え置きを決めたことを受けて買い安心感が広がった。10年物368回債の利回りは一時マイナス0.035%に低下した。
auじぶん銀行の山下周チーフエコノミストは「日銀イベントの通過で買い戻しが入りやすい中、海外金利低下や日本株下落などリスク回避の流れが強まり、買いに拍車がかかった」と指摘。「先行きの世界景気の不透明感もあっていったん買い戻す動きが強まったものの、こうした金利低下の流れが短期的なのかどうかは分からない」と話した。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介債券ストラテジストは368回債利回りのマイナスについて、修正観測からショート(売り建て)で粘っていた向きが日銀の現状維持発表を受けて経済合理性の観点から買い戻し、マイナスまで低下している可能性があるだろうと説明した。


植田和男日銀次期総裁
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
為替
外国為替市場では円が下落。日銀による金融緩和策の修正がなかったことから、一時1ドル=137円ちょうど付近まで値を切り下げた。その後は米金利の低下もあり、下げ渋っている。
NBCフィナンシャルマーケッツ・アジアのディレクター、デービッド・ルー氏(香港在勤)は「サプライズ警戒の円買いポジションの巻き戻し」が出ていると説明。ただ、「米銀行セクターへの懸念から米株先物安・米金利低下の典型的なリスク回避の環境になっており、137円台半ば付近ではドルの戻り売りが出そう」とし、海外時間に米雇用統計の発表を控えていることも「動意を抑制しそう」と話した。
T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフストラテジストは、日銀会合について「サプライズ観測が全くなかったわけではないので、無風通過を確認して円安に振れている」と説明。「黒田総裁の会見が波乱を呼ぶ可能性もあまりない」とし「次の焦点は米雇用統計になる」と話した。
株式
下落して午前の取引を終えていた日本株は午後に一段安。米銀行株安を受けて日本でも銀行を中心に売り注文が膨らんだ。日銀会合の発表を受けて先物は一時下げ渋り、日経平均株価も午後の取引開始時は下げ幅を縮めたが、すぐに売り物に押された。
日経平均の下げ幅500円超える-午後一段安、米銀行株安でリスク回避
大和証券の木野内栄治チーフテクニカルアナリスト兼テーマリサーチ担当は日銀会合の結果判明を受けた日本株について、今夜の米雇用統計の発表を控えて為替ほどは反応しづらいとの見方を示した。日銀の現状維持は為替面からポジティブだが、米雇用統計で景況感が良いとなれば利上げ懸念からネガティブだとした。
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