実母マミは食器道楽で

うちにある食器の多くが

嫁入り道具として実家から持ってきたものだ。

今回の引っ越しにあたり、

それらを手放さなくてはと、

頭を悩ませていた。


五つ組になったもので、

欠けたり割ったりしたのは

はんぱになったから

諦めがつく。

五つ揃っているものが、

捨てるのも忍びなく

かといって、お譲りするのも気が引ける。

何度かでも水を潜った食器は

その家庭の色が付くように思う。

香蘭社の お澄ましな食器たち。

お正月や お客様ごとのときにしか

出番はなかったけれど、

数少ない 出来事を彩ったから

余計に印象に残る。


駄目だ、

手放せない。





断捨離とは
思い出にかたをつける作業だとは思うが
家族の思い出を 片付けるには
ワタシはまだ、青すぎるようです。
熟女なのにな。
まだらに熟れたかね。

せめて、小さい段ボール三つ分だけに
収まるように心がけよう。

代わりに 服は随分捨てました。
もとから少い服が
更に少なくなりにけり。

ヘムレンさんみたいに
一年中同じようなファッションになるかもしれんが
思い出を削れないのだから
おしゃれ心を削って凌ぐ。

これから先の装いは
笑顔 一点で押し切る所存なり。