俺が終わらせてくるー原発最前線の自衛隊員
「人員削減のせいで人数が足りない。でも、『宣誓』してるからね」
年長の31歳隊員が言った。
「宣誓」とは何か?」と聞くと、自衛隊に入隊するときに読み上げるのだという。
おもむろに彼が諳んじると、後輩の二人も後に続いた。
「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託に答えることを誓います」
束の間の合唱の後、「宣誓に嘘はつけないから」と31歳隊員は言った。
不安がないと言えば嘘になるだろう。
原発周辺に展開するテロ対策のために配置された「中央特殊武器防護隊」を除けば、多くの部隊が放射能の専門外だ。
人員も装備も十分ではないのが実状である。
それでも彼らの決意がぶれない裏には、もうひとつの事情があった。
「隊員のなかには、被災地出身の者がいるんです。だからいっそう士気が高い」
隊員たちは個別に電話を受け、家族に確認の上、志願を表明した。
後輩の二人は、「うちらは独身者だから大丈夫。両親も『頑張って』と送り出してくれた」という。
だが、その「頑張って」の一言を、家族はどんな気持ちで絞り出したことだろう。
31歳隊員が続けた、「妻は自衛官だからわかってくれている。4歳と0歳の子供がいるんだけど、上の子がテレビの消防の映像を見て、『これ、お父さん一人でやるの?』って言うんだ。
『俺が終わらせてくる』って言ってきたよ」
自信満々の表情に、若い隊員たちも笑う。
その後、彼はぼそりとつぶやいた、「でも、そのぐらい上げていかないとね」