私の中に産まれた、
いや、
思い出として
蘇った祖母、
そして祖父は
優しい顔をしていた。
魔女狩りの時代を
乗り越えた祖母は、
それでも人間を
許し共に生きていた。
彼女が口癖のように
呟いた言葉が、
胸の奥に響いてくる。
「トモ、怒りや恐怖からは
何も産まれないし、
なにも育たないわ。
ただ、破壊へと
世界が導かれてしまうだけよ。
人間は悪に
心を奪われてしまった。
だけど、
自分たちの力でまた、
元の生活を取り戻したのよ。
一部の、
私に関わった人たちは、
過去の過ちを詫びてくれた。
確かに、詫びるだけで
私の可愛い娘の命が
帰ってくる訳じゃない。
でもね、
魔女だって
人間だって
間違う事はあるの。
でも、
そこからどう
変わっていくかが
大事なのよ。
大切なのは信じる事よ。
例えば魔物にだって、
心はある。
心の目でちゃんと
相手を見ていくと、
大事なものが見えてくるわ。」
そう、
祖母が示唆していたのが、
今のこの時代。
魔物と呼ばれるそれが、
再び人間の心を
支配しようとしている。
長い時間をかけて
力を蓄え、今また
人間の心に種を撒き、
心の弱い部分に棲みつき、
そこを棲家に増殖しているのだ。
そうして、
破壊を目論んでいるのだった。
占い師は、
そこまで語ると
目を伏せて黙り込んでしまった。
私はその彼に語り掛けた。
〈ありがとう。占い師さん。
私の記憶は
悲しいものばかりじゃなかったよ。
少年から魔女狩り
の事を聞いた時は、
胸が張り裂けそうに震えて、
人間を信じていいのか
迷ってしまった。
それでも、
私は祖母の魔術を
受け継いだ者として、
戦うわ。
魔物の心に寄り添い、
人間の心を棲家とする
彼らを止めてみるわ。〉
そう言って、彼と別れた。
別れ際に彼はこう言った。
「私もまた魔法の力を持つ者だ。
魔物の正体は、
人間の中に入り込み
棲みつく寄生虫だ。
何か力になれる事があれば、
心の中で私を呼んでくれ。
私の名前はゴウだ。
いつでも君の味方をしよう。」
〈ありがとう、ゴウさん。〉