夜は、涼しく深い闇となって。
遠くに聞こえる蝉の声に
名残惜しく居座っている夏を感じて。
私は、近くの公園のベンチに腰かけた。
楽しそうな声がする。
一つ一つの屋根の下に
一つ一つの家族があって、
支え合って、励まし合って
生きている。
なんでかな?
この夜の深さのせいかな?
一人ぼっちになった気がした。
わたしだけ、仲間外れにされたような
そんな気持ちがして、涙が流れた。
「そんな泣き虫だったっけ?」
遠くにそんな声が聞こえて。
一年も経ったのに
何も変わらないその声が
無常に嬉しくて。
声の主を探しに行った。
「俺はさっ、
お前の事、好きだよ?
俺が、想ってる可愛い女は
お前で十分、成り立ってるんだけど」
涙が溢れた。
何も言葉に出来なかった。
「・・・お前って、
そんな泣き虫だったっけ?」
そう言って抱きしめてくれる
その腕も、胸も変わらなかった。
何一つ変わらず、私が大好きな彼だった。
「もう考える事ないよ。
2人で一緒にいよう。」
明るく差し込んだ光に
夜空を見上げると
『・・・満月』
月が優しく私たちを包み込んでくれていた。
『ありがとう。』