圧倒的に多い企業数の中小企業。
圧倒的に総雇用者数の多い大企業。
最近、大企業は人を育てていないのではと感じるようになった。
ビジネスの範囲が大きいからスケールの大きい仕事は出来る。
だから人は育つという理屈も成り立つ。
しかしそれはすべてを任されてこその話である。
一人の人間に大きな仕事のすべてを任せては企業として危なくて仕方がない。
したがって、ついつい仕事は分散する。
自分はどこを担当しているのかさえわからない人間も出てくる。
特に技術部門は、電気、ソフト、メカ、高周波、半導体等に別れ、
その中でもさらに細かく担当が別れている。
任されてこそ人は育つ、これで本当に人は育つだろうか。
実力主義というが、どうして実力を正しく判定できるのだろうか。
ひとつのビジネスが大きな成果をあげた時、
それは企画の力か開発の力か製造の力か営業の力か
どうして判断するのだろうか。
上司は、本当に実力主義で部下を評価できるだろうか。
曖昧なままでの実力主義では、やがて本音と建前のことと受け取られる。
大企業においては本当の意味での実力主義は育たない。
大企業では、人事経理管理といったスタッフは充実している。
個人のことはかなり個人に任せるようになったけれども、
やはりほとんどの雑務はスタッフがやってくれる。
自分の雇用保険も、健康保険も、こまごまとした税金も、
自ら頭を悩ませることはほとんどない。
民間に働く人間は、ややもすると役所は甘いとか親方日の丸とか揶揄する。
たしかにそんな傾向が少しはあることは否めない。
しかし、考えてみれば甘えということに大差はないように思う。
逆に役所に働く人間は、それだけ社会を厳しい目で見ているのではないか。
いざとなれば自分ひとりでビジネスを引っ張っていく、
そんな人間にはとても育っていない、
最近は、どうもそんなことを強く感じるようになった。