1979年、生物物理学者ジェームズ・ラブロックは、著書「地球生命圏―ガイアの科学」において、地球はひとつの有機生命体(ガイア)であると提唱しました。
地球とは、単なる岩石の球ではなく、水分と大気を持ち、そこに生息する生命種と共に、温度・環境を調節する生命システムを持っている生命体だとするものです。
人体は60兆個とも100兆個とも言われる細胞で構成され、骨や筋肉、様々な臓器があり、その中で様々な菌や微生物が活動してくれています。
バランスを崩せば免疫が働き正常に戻そうとしてくれたり、絶妙な体温を一定に維持してくれています。
人体とは大小様々な存在がそれぞれの役割を持ち、共生することにより奇跡のようなバランスで成り立っています。
地球もまた同じで、宇宙から観れば大切な一つの細胞や臓器のようなもので、その地球そのものも様々な生命たちが絶妙なバランスで役割を果たし、それが地球生命そのものが生きられる条件になっています。
そういう意味では人体の中で、それぞれの存在一つ一つが欠けてしまえば生命活動に重大な危険が起きてしまうように、地球生命からすれば僕たち一人一人や動物や植物または鉱物などの存在全てが大切なのです。
全てが一つで地球であり、人間なのです。
現在の地球の状態は、善玉菌が悪玉菌になって暴れまわるように、人間がエゴにより好き勝手に振る舞い、地球の体内を汚染している状態かも知れません。
このままでは大切な地球が取り返しのつかない事になってしまうか、それとも地球の免疫システムが働き、悪玉菌と化した人類が淘汰されてしまうかも知れません。
このような観点から考えてみると、全体で一つであり、全体で和している存在は非常に生命力が高いのです。
生命力が高いということは、エネルギーが高いとも言えます。
食養学では「一物全体(いちぶつぜんたい)」と言う言葉があります。生命あるものを丸ごと食べるという考え方です。
人間が頭のてっぺんから足の先まで余分なものはひとつもないように、野菜も穀物も魚も、生きているものには余分なものはありません。
野菜は根から葉まで、小魚は頭から尾まで、全部食べます。お米なら玄米、小麦粉なら全粒粉ということになります。
穀物の皮や胚、野菜の皮には、それ以外のところには入っていないビタミンやミネラルが含まれています。
また皮や芯など堅い部分は、以前は消化に悪い、栄養があまりないとされていましたが、近年になって、食物繊維(ダイエタリー・ファイバー)が豊富なため、腸の健康に役立つことがわかってきました。
動物や大きな魚などは全体を食べる事は出来ず、部分的に食べるモノであり、生命原理から言えば、嗜好品です。
逆に身体にとっては肉体的にも精神的にも特に動物食は良くありませんし、地球環境に大きな負担をかけています。
白米は水につけておくとやがて腐ってしまいます。
精製され命が無いからです。
玄米は水につけておけば発芽します。
そして玄米は、胚乳と胚芽と表皮からなっていますが、このうち、胚芽と表皮をそぎ落として胚乳だけにしたものが白米です。
しかし、栄養の面でみれば、ビタミン、ミネラルなどは、胚芽と表皮の部分に95%も入っていて、胚乳には5%しかありません。
玄米は生命が宿っているからです。
いつの間にか動物を意味もなくお金儲けや欲の為に食べるようになり、動物の命をありがたく頂く為に「感謝して食べる」と言われるようになってしまいましたが、本来は人間の食律にあった食べ物を、生命が宿っている一物全体で食べる事に対して、「感謝して頂く」為に、「いただきます」をするのです。
栄養的にも、エネルギー的にも、身土不二の地のモノを食べ、なおかつ一物全体でありがたく食べる事が大切な事のようです。
ただし、遺伝子組み換えされたモノや、農薬や化学物質にまみれた作物や、汚染された海のモノなどは気を付ける必要があります。
出来るだけ自然なモノで、季節のモノを食べる事も大切です。
もちろん適切な調理も必要です。