昨日(3/17) j前橋地裁で、福島原発事故における、東電と国の過失が認められる判決が出ました。

≪ 『原発避難訴訟 国に初めて賠償命じる判決 前橋地裁』  東京電力福島第一原子力発電所の事故で、群馬県に避難した人など、130人余りが起こした裁判で、前橋地方裁判所は「津波を事前に予測して事故を防ぐことはできた」として、国と東京電力の責任を初めて認め、3800万円余りの賠償を命じる判決を言い渡しました。原発事故の避難をめぐる全国の集団訴訟では、今回が初めての判決で、今後の裁判に影響を与える可能性もあります。 ≫ ( NHK NEWS WEB )

 

平成14年に政府の地震調査研究推進本部が発表した「長期評価」では、三陸沖から房総沖にかけてマグニチュード8クラスの巨大地震が、30年以内に20%の確率で発生することが示されていた。そして、平成18年に当時の原子力安全・保安院や電力会社が参加した勉強会で、福島第一原発については、14メートルを超える津波が来た場合、すべての電源を喪失する危険性があると示されていた。

 

それで、国と東京電力の責任に対し、3800万円余りの賠償を命じる判決が言い渡されました。この手の判決が言い渡されるたびに疑問が起きます。ここで責任を問われている、国あるいは東京電力というのは一体何者か?ということです。賠償金は結局税金と電力料金の中から払われます。もちろん、今の政権を支えている政治家を選挙で選んだのだから、国民が税金を通じて賠償することに異論があるわけではありません。しかし、政治家や経営者というのは、それなりの高い見識や判断力を見込まれて高い地位と報酬を与えられているはずです。過失があった場合は応分の責任を果たすのが当然でしょう。

 

しかし、この件で責任を取った政治家はいないし、東電も一部の幹部が交替しただけです。今回の事故の責任は、単に職を辞するくらいのことではすまされないはずです。東電の幹部は引退してもおそらく悠々自適の生活を送れるでしょう。しかし、多くの人が故郷を追われ今も帰れない、自殺者も出た、何か割り切れない思いを抱くのは、私一人ではないでしょう。

 

「マグニチュード8クラスの巨大地震が、30年以内に20%の確率」
「14メートルを超える津波が来たら、すべての電源を喪失する危険性」

 

30年以内に20%の確率なら、自分の任期中に発生しない確率は8割以上、それに必ずしも14メートルを超える津波が発生するとはかぎらない、少ない確率のリスクに金をかけるよりも、自分の任期中に経営実績を上げて評価されたいという気持ちは分からないでもないが、現実にリスクは発生した、見識ある人間なら己の罪の深さを思い知るはず。