学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地払い下げ問題に関して、共産党の小池晃書記局長が、学園側が自民党国会議員に便宜を図るよう求めた記録が存在すると主張し、安倍晋三首相を追及した。

 

小池氏 「私どもは、ある自民党国会議員事務所の面談記録を入手しました。そこには、森友学園側と(売却に関わった)近畿財務局や大阪航空局とのやり取りが克明に記録されている。記録は、2013(平成25)年8月5日から始まります。一部紹介します。」 ‥‥( ある政治家の事務所に籠池氏が来訪し、いろいろなやり取りがあったことを述べる)‥‥

 

それに対して安倍首相は次のように答える。

 

安倍首相 「まず、読まれた文書は、どういう文書かも分からないですよね。本当のことかどうか分からないものを、立証する責任はそちらにある。そこで、国会議員の事務所、まるで私の事務所であるかのごとくの印象を与えていますよ。印象を与えていますが、そういう事務所がどこの事務所かということを、われわれは知らないんですから。今、小池さんが『その事務所はどこだ』と言われたらいいじゃないですか? ないものを証明するのは、いわば『悪魔の証明』といわれている。その事務所の名前も出さずに、これは調べようがない。それと、不当な働きかけはなかったと(財務省の)局長から聞いているわけですから、そうお答えしているわけです」

 

悪魔の証明とは、「存在しないものを存在しないと証明する」ことで、論理的には不可能とされている。例えば雪男を発見すれば、それはそのまま雪男が存在することの証明となる、しかし、雪男が見つからないからと言って、雪男が存在しないということは言えない、というようなことである。

 

しかし、安倍さんの言っていることは屁理屈というものだろう。国有地を9割引きで民間に払い下げる。そんなことは通常あり得ない。私立学校の理事長が政治家の媒介なしに、土地代を8億円も値引きできる権限を持つ役人に面会できるわけがない。

 

常識的に考えれば、安倍さんの支持母体である日本会議の幹部である籠池氏に、役人たちが配慮したのだろう。なにしろ総理夫人が名誉校長なのだから、当然籠池市の背後に総理の後光がさして見えたはずである。

 

国有財産を9割引きで売り払うことが、正当な行政であるかどうかの判断力を問われていることに気づかないのか。今回の件に関して自分の影響を払しょくしたいのであれば、交渉経過を自分から積極的に追及すべきなのに、「挙証責任は野党にある」とばかりに気色ばむ。すでに馬脚は現れているのである。こんなお粗末政治家の支持率がいまだに50%以上もあるなんて、一体どういうことなのか。

 

安倍さんはこの「悪魔の証明」という言葉が好きらしくて、以前TPP問題で甘利氏が追及された時にも、この言葉を出して反論している。しかし、イラク戦争を支持したことを追及された際には、次のように答えていたことを山本太郎議員に皮肉られている。

 

「大量破壊兵器が無いと証明出来なかったイラクが悪いといことは申し上げておきたいと思います」

 

これこそ悪魔の証明の要求ではないのか。美しい日本の国の政治はお粗末である。