先々月に、ドナルド・トランプ大統領が自身の納税記録流出を巡り米内国歳入庁(IRS)を相手取った100億ドルの損害賠償訴訟について和解が成立したというニュースが流れた。その和解の内容というのがふざけていて、トランプ氏側が損害賠償を取り下げる代わりに今後IRSがトランプ氏本人とその家族、関連企業に対する過去の税務調査を行うことを永久に禁止するという内容だった。確かに納税申告書や秘密の財務情報が流出したのは事実だが、データを漏えいさせた職員は現在禁固刑に服している。組織の責任を問うというのなら当時の政府の責任者のトップはトランプ自身(一期目)である。それがなぜ「トランプ関連の過去の税務調査を永久に禁止」という馬鹿げた結論につながるのかが理解できない。どう考えてみても、どさくさに紛れて意味不明な道理を押し通そうという火事場泥棒にも似たやり方である。なぜこんな人物がアメリカの最高権力者にとどまっておれるのかが不思議である。
もちろんこんな道理が通るはずがない。最新のニュースによればマイアミの連邦地裁は7月13日、トランプ氏側と政権(司法省)による和解が「司法制度の悪用」にあたるとして法的効力を阻止したらしい。、「トランプ氏が(大統領として)自分が指揮する政府を相手に訴訟を起こし、身内の司法省と非公開で永久的な税務調査免除などの超法規的な和解を結ぼうとした手続き(自作自演・利益相反)」はいくらなんでも違法であると判断されたのである。
問題なのは、このような判決が出てもトランプ信者は一向にひるまないことである。もう何が起こってもトランんプへの信頼が揺るがない、アメリカ人の約三分の一がそうした人々だというのだから恐ろしい。前回大統領選に敗れた際にトランプは「選挙が盗まれた」として膨大な数の訴訟を起こした。そして裁判には悉く敗れたが支持者の信念は揺るがない。なぜなら、トランプだ立ち向かっているのはそれだけ強大なディープ・ステートであるからだというのである。もはや何をかいわんやである。
実は日本でもこういう事態が起こっているのではないだろうかと私は疑っている。高市政権がなぜこれほどの高支持率を維持しているのかが私には信じられない。台湾における緊急事態に関する発言は外交についての無知をさらけ出したと思った。正式の外交関係にはない台湾を救うために自衛隊を発動させると解釈されかねない発言をしてしまった。日本は二つの中国を未だに認めていないという事実を知らないのか? 中国の「内政干渉だ」という言葉には外形的には正しいのである。それだけではない。円安になっても「外為特会が黒字てウハウハ」などと口走った時点で、もう完全に政治家失格だろうと思ったあまりに無知過ぎる。国会答弁には消極的で、しかも聞かれたことにはまともに答えないで、はじめから用意された文言を話の脈絡を無視して一方的にしゃべるだけ、誠実さに著しく欠けている。それでいて、「世界に平和をもたらせることができるのはドナルドだけ」などとおべんちゃらを平気で言ってしまう無節操さもある。なぜ支持率が落ちない? 中国に対して毅然とものを言う。軍備を増強して日本を強大化する。どうやらそれだけで嬉しいと思う人が多いようだ。日本を誇りに思いたいという気持ちは分からないでもないが、皇室典範で男系男子の制度を確立したり、国旗損壊罪を導入したり、軍備を増強したりすればそれが実現すると考えるのは錯覚だと思う。
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