ほとんどのレコードプレーヤーには、インサイドフォースキャンセラーあるいはアンチスケーティングという名の機能がある。
針をレコード盤の最外周(リードイングルーブの領域)に下ろした時に、針先がリードイングルーブにはまらずに盤の内周側に滑って音溝の演奏開始部位まで進んでしまうのを防ぐ機能。
ワイヤーの張力、磁力、電子式など様々な方式があるが、いずれもレコードプレーヤーの取扱説明書にはカートリッジの針圧値と同じ目盛りに設定するよう記載されている。
インサイドフォースがはたらくと音溝をトレースしている針先は内周側へ引っ張られるが、インサイドフォースキャンセラー/アンチスケーティング(IFC/AS)はアームを外側へ引っ張る。
インサイドフォースはレコード盤の外周側ほど強くはたらくので、再生中に IFC/AS の設定値が一定であることは不都合。
IFC/AS を針圧値と同じに設定して、最外周に針を下ろした時に滑らないからとそのままにしておくと、実は音溝の最内周までの再生全体においては設定が強過ぎることが多い。
IFC/AS の設定が強過ぎると、使用時間とともにいつしかカンチレバーの針先側がレコード盤の内周側へ傾く。
ダンパーゴムが柔らかいハイコンプライアンスのカートリッジほど、IFC/AS の設定が強過ぎると傾きやすい。
さらに、インサイドフォースの大きさは針先の形状によっても異なる。
例えば、同じ針圧のカートリッジどうしで比べると、楕円針の方が丸針よりも大きくなる。
以上のように、IFC/AS の適切な設定は、決して針圧値と同じではない。
IFC/AS が強過ぎない設定を見つける簡便な方法は、レコード盤を取っ換え引っ換えして最外周に針を下ろし、演奏開始部位まで滑らない最小値を探ること。
今、私が使っているレコードプレーヤーは DENON DP-67L で、電子式のアンチスケーティング機能が付いており、S字アーム。
カートリッジ/ヘッドシェルとアンチスケーティングの設定は以下の通り。
DENON DL-103R(丸針、針圧 2.5 g)/YAMAHA HS-11
アンチスケーティングの設定値: 1.60
DENON DL-55(特殊楕円針、針圧 1.8 g)/audio-technica MG-10
アンチスケーティングの設定値: 1.65
設定のわずかな違いに敏感で、0.05~0.10 変化させただけで、演奏開始部位まで滑るか滑らないか変わる。
いずれも針圧値よりも小さい設定でじゅうぶんであることが分かり、特に丸針の DL-103R
では針圧値との差が大きい。
ラインコンタクト針/シバタ針/S楕円針/超楕円針は使ったことがないが、針圧値よりもかなり小さい設定でいいのではないか。
後日記事
YAMAHA MC-4(特殊楕円針、針圧 1.4 g)のアンチスケーティングの設定値は 1.1




