2005年3月20日、10:53に発生した福岡県西方沖地震。
その地震によって初めてその存在が知られた断層は、従来から警戒されていた警固断層 (博多湾から筑紫野市に至る断層) から続くように北西方向へ伸びた海底下にあった。
以後、旧来の警固断層は警固断層帯南東部、そして新たに見つかった海底下の断層は警固断層帯北西部とよばれるようになった。
北西部が動いたものの南東部は動かなかったことから、南東部にはさらに歪が蓄積され、地震前よりも動く確率が高くなったとされる。
南東部について、現在までに過去2回の推定活動時期が明らかにされているが、かなりの幅がある (下図の赤線部)。
北西部の過去の活動については、2005年以外まったく不明。
南東部は、過去2回だけの推定活動時期を根拠にして、地震の周期は 3,100 ~ 5,500 年と推定されている。
現在、南東部の前回の活動から 3,400 年以上が経ち、既に最短推定周期を越えて 300 ~ 1,200 年も経っている。
しかし、最長推定周期までは 1,200 ~ 2,100 年も残っている (中間値 1,650 年)。
推定周期の中間値 (4,300 年間隔) でも 0 ~ 900 年残っている (中間値 450 年)。
このことをどう考えるか。
上記のように、警固断層帯に関しての過去のデータは余りに少ない。
北西部と南東部が相互作用しているからには、両断層の活動履歴がじゅうぶんに解明されない限り、信頼度の高い活動周期は導き出せないと考えられる。
従って、国や大学などの研究機関が発表している現在の定説が、今後大幅に修正されることも大いにあり得る。
しかし、北西部の断層は海底下にあるだけに、警固断層帯全体の活動履歴を解明するのは非常に困難かもしれない。
ここで、定説の 『北西部が動いたものの南東部は動かなかったことから、南東部にはさらに歪が蓄積され、地震前よりも動く確率が高くなったとされる。』 について考えてみる。
逆の可能性はないだろうか。
それは、『前回の南東部の活動時に北西部は動いておらず、その結果北西部にさらに蓄積された歪みが2005年の地震により解放された』 というもの。
この場合、南東部には次の活動時期が過去の周期よりも早まるほどの影響はない。
こんな事を考えながら、今日明日にも南東部が動くこともあり得る。
天は自ら助くる者を助く。
すべきことは、防災・減災のための備え。