カートリッジのコンプライアンスとアームのタイプ | 俳句銀河/岩橋 潤/太宰府から

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レコードプレーヤーのアームは、ユニバーサルアームとストレートアームに大別される。

 

ユニバーサルアームはカートリッジを取り付けるヘッドシェルが交換可能で、アームの形状にはS字とJ字があり、ヘッドシェルと合わせて一般に重い。

 

ストレートアームは一般にヘッドシェルと一体型で軽量。

 

針圧が軽いカートリッジの針は弱い力でレコードの溝に合わせて動くことが出来、この性質をハイコンプライアンスという。

 

逆に、針圧が重いカートリッジはローコンプライアンス。

 

コンプライアンスには、ダイナミック ~ とスタティック ~ の2種類があるが、どのメーカーも表示して、単にコンプライアンスと表示されているのはダイナミック ~ の数値。

 

針圧が重いローコンプライアンスのカートリッジには脱着式ヘッドシェルを使って取り付ける重いユニバーサルアームが適合し、針圧が軽いハイコンプライアンスカートリッジには小型で軽いシェルが一体になった軽量ストレートアームが適合するとされる。

 

カートリッジとヘッドシェルの合計質量が大きくなると、バランスを取るカウンターウエイトも重くなる。

 

重いアームではハイコンプライアンスな針先の動きに対する追従性が低くなり、軽いアームではローコンプライアンスな針先の動きや重いカートリッジに対して安定性が低くなる。

 

 

持っているカートリッジが、いずれも DENONDL-55II103R301II の3つになり、プレーヤーは DENONDP-57L が2台 (一台はユニバーサルアームのS字、もう一台はストレートアーム) あるので、ちょっと実験してみた。

 

3つのカートリッジを、S字アーム (ヘッドシェル Ortofon LH-4000 を使用) とストレートアームの両方で使い、針がレコード盤最外周の部分をトレースする時に、サブソニックノイズがスピーカーのウーファーのふらつきとして表れるかどうかを見るというもの。

 

音質評価はしない。

 

スピーカーは HARBETHHL Compact 7ES-3 で、保護のためグラフィックイコライザーのハイパスフィルターを 20 Hz に設定 (この設定で、ほとんどの場合サブソニックノイズは十分カットされ、ウーファーはふらつかない)。

 

DP-57L の Q-DAMPING のダイヤルはゼロに設定。

 

レコードは、クライバー指揮/ウィーンフィル、ベートーヴェン 交響曲第5番、ドイツ盤 Grammophon、2530 516、1975年。

 

LIFTER up/down スイッチで針を下ろし、あの有名過ぎる第1楽章の冒頭が鳴り出すまでの無音部分で、ウーファーがふらつくかを見た。

 

音量は、冒頭のダダダダ~ンでアンプの両チャンネルの出力メーターが -20dB (1W) を示す位。

 

 <結果> 

 

ウーファーのふらつきが見られたのは、最もコンプライアンスが高い DL-301II をS字アームで使用した時で、ハイパスフィルターを 31.5 Hz まで上げるとふらつきが見られなくなった。

 

面白いのは、質量が最も小さくコンプライアンスはハイとローの中間 (ミディアム) の DL-55II で、S字アームでウーファーがふらつかなかったこと。

 

用いた3つのカートリッジと DP-57L の2種類のアームとの相性には、カートリッジの質量ではなくコンプライアンス値が最も影響するようだ。

 

今回の実験以前のことだが、KENWOOD のプレーヤー KP-7010 (J字アーム) で DL-301II を使用した時にもウーファーが大きくふらついた体験があり、J字アームもS字アームと同じくハイコンプライアンスカートリッジとの相性は良くないようだ。

 

カートリッジを交換する度に、違うアームに付け替える度に、アームの前後水平バランス ・ アームの高さ調節 ・ ヘッドシェルの左右水平調節などを行わなくてはならず、大変面倒な実験だった。