『イサム・ノグチ物語』(めら・かよこ/著)を読む。
ふと、イサム・ノグチに興味がわいて手に取った。
幼少期からモエレ沼公園(札幌市)のマスタープランを作成して亡くなるまでが描かれている。
自分の居場所を見つけられなかったノグチが終始求めていたのは、自然の一部である自分(人間)が自然の一部であると実感できる場所だったように思う。今の言い方だと「ワンネス」。
いじめや親との不和、13歳で単独アメリカに渡り過酷な日々を過ごすなど、幼少期から苦悩が多かった人生だった。想像を絶する孤独感の中で、世界に溶け込んでいるように感じる景色があったのかもしれない。それを作品としてつくり出そうとしたのではないのかと、モエレ沼公園を見て感じた。
モエレ沼公園は、楽しいとか、面白いとか、そういった感覚に襲われる場所ではない。緑があって、造形物があって、広い空があって、その中にぽつんと自分がいて、優劣もなく、まさにすべてが自然を構成しているにすぎないとわかる。
そんな体験ができる場所が、子どもたちには必要と思ったのかもしれない。