『居るのはつらいよ ケアとセラピーについての覚書』(東畑開人/著)を読了。

 

 

「ただ、いる、だけ」の価値を多くの人が知ったなら、たぶん、この世の心の問題はほぼ解決するのではないかと思う。

 

「ただ、いる、だけ」が許されなかった子どもは、大人になっても周囲の顔色をうかがい、常に自分がそこにいる意味=他人における自分の価値ばかり問うて、自分の人生を生きることができない。そして、「ただ、いる、だけ」に罪悪感を覚えて、自ら関係を壊すこともある。「ただ、いる、だけ」が出来なくて狭い部屋から出られなくなることもある。それくらい「ただ、いる、だけ」は大切だし、それを良しとする空気をかもし出せる人がとても少なくなったとも感じる。それくらい世の中は追い込まれているとも言えるのかもしれない。

 

読み始めと読み終わりで『居るのはつらいよ』の意味が変わる。

そんな言葉のマジックにふれて、ちょっと鳥肌が立った。