『あなたを選んでくれるもの』(ミランダ・ジュライ/著、岸本佐知子/訳)を読了。
ミランダは映画の脚本を執筆していた。しかし、なかなかアイデアが出てこない。
そんなジレンマに陥った中での心の拠り所は、さまざまな郵便物に紛れて投函されるフリーペーパーだった。
フリーペーパーを隅々まで読むようになったミランダの好奇心をくすぐったのは「売ります」の広告。
一体、どんな人が広告を出しているのかを知りたくなったミランダは、ついに広告主にコンタクトをとり、自宅を訪ねて話を聞きに行くようになる。
そのインタビューの様子と、映画が完成されるまでをまとめたノンフィクション。
掲載されているのは12名のインタビュイだが、実際はもっと多くて、厳選された12名だったのか。
それとも、インタビューに応じてくれた貴重な12名だったのか。
もし後者なら、ミランダは相当“持っている”人だと思う。
まさに「ダイバーシティ」。
人間の多様性をここまで表現している本はそうそうないように思う。
奇しくも昨日、他人との遺伝子の相違について調べていたら、99.9%は同じらしい。
0.1%の違いで、姿形、性格、体質などの違いが出てくるそうだ。
この本に登場する12名は、99.9%、自分でもあるのだ。
なぜか「六道」という言葉が頭をよぎった。
ところで、タイトル『あなたを選んでくれるもの』の「あなた」は、誰を指しているのか。