その気になれない感はあるものの、本だけは無性に読みたい。

なので、ここ最近、疲れていても、眠るまでの30、40分は読書しています。

 

何冊か並行読みしているのですが、ちょっとハマりそうなのが「フランク・ゲーリー」です。

といっても、この方、作家ではありません。

建築家です。

重力とか、常識とか、なんかもう、そういうものをすべて吹っ飛ばしたかのような、奇想天外な建物を造る鬼才です。

この方の半生をまとめた

 

「フランク・ゲーリー 建築の話をしよう」 バーバラ・アイゼンバーグ著

 

これがとてもおもしろい。

 

フランク・ゲーリーのことを知ったのは、とある建築関係の方を取材したのがきっかけでした。

その方は施工管理という立場で、いわゆる建て主、建築家、各職人などをまとめる仲介役のような存在。

一生に一度の大きな買い物を決断した建て主の覚悟を背負い、何かと自分のこだわりを主張してくる建築士や、気性の荒い職人たちをコントロールして、納期までに必ずフィニッシュするという、なんとも、考えただけで胃が痛くなる仕事です。

あまり目立たない存在ですが、施工管理を請け負う人がいなければ、建物は建たないといっても過言ではない、そんな重要な役割を担っています。

 

この方がね、フランク・ゲーリーが設計した建物の施工管理をやってみたいって言ったんです。

それまでの話の流れから、建て主からの無理難題をクリアすることに快感を覚えるタイプというのは、何となく匂っていたので、すっごい無茶ぶりをしてきそうな人なんですか? と聞いてみたら、こんな建物を造る人だよと、画像をいくつか見せてくれました。

 

写真に写されている、グニャグニャした奇怪な建物を見て、不自然だけど自然だなと、そんなふうに感じたことを記憶しています。

 

この世界において、もっとも不自然な形は、直線です。

自然界では絶対存在しない形状だから。

だけど、建物ってほとんど直線で構成されているでしょ。

一番簡単で、一番お金がかからなくて、一番丈夫だから、その形なんですけど、不自然なものだからどこか威圧的で、ずっと直線の中で過ごしていたらビョーキになります。

ですが、フランク・ゲーリーの建物は、人工物だけど生き物のような形状です。

植物が太陽の光を求めてうねるように、この方の建物も何か見えざるものを求めてうねっているのかも。

それが、「不自然だけど自然」と感じた理由かもしれません。

 

まだ読みはじめたばかりなので、何もつかめていませんが、これからどんなエピソードが出てくるのか、とても楽しみです。