夜の帳(とばり)が静かに降りる頃、空にはまだ細い闇の月。

それは乙女座の新月、旧暦では文月(ふづき)と呼ばれる初秋の入り口でした。


チャップは縁側に腰をおろし、ひんやりとした風にそっと目を細めます。

夏の熱をやわらげる夜風には、庭先のミントやレモンバームの香りが混じり、

紫陽花の青が色を深めていくように、静かに季節が移ろっているのを感じさせました。


乙女座の新月は「整える月」。

心も、暮らしも、そして夢も。

チャップは、机の上に置かれた「忘れられた本」の栞を開き、

まだ読まれていないページに鼻先をあてました。

そこには「日々の小さな儀式を忘れぬこと」と、

月明かりに淡く輝くインクで書かれていました。


──たとえば、朝の一杯のお茶を丁寧に淹れること。

──夜、月に祈る前にハーブを香らせること。

──そして、日々を記す小さな日記を綴ること。


それは、心を落ち着け、未来の扉をひらく小さな魔法のようなものでした。


チャップは、庭のハーブを一枝くわえて部屋へ戻ると、

その香りをまといながら本のページに寄り添い、

「文月」の新しい始まりにそっと願いをこめました。


「どうか、これからの日々が美しく整いますように。」


窓辺に置かれた小さなランプの灯りが、チャップの影を揺らし、

まだ見ぬ未来を優しく照らしていました。




🌿今回のテーマハーブ&アロマ


  • レモンバーム:心を落ち着け、新しい始まりを整える
  • ミント:余計なものを流し、澄んだ気持ちを取り戻す
  • ラベンダー:眠りと癒しをもたらす