夜の庭は、金色の光に包まれていました。

大きく、丸く、力強い――牡羊座の満月。

秋の実りを祝う「ハーベストムーン」が空に浮かび、風の音さえも柔らかく聞こえます。


チャップは月明かりの中で、いつもより背筋を伸ばしていました。

その瞳は炎のように輝き、どこか遠くを見つめています。

庭の奥で、熟れた無花果(いちじく)や栗の香りが漂い、季節の終わりと始まりが静かに交差していました。


「チャップ、収穫の月はね、これまでの努力が実を結ぶときなんだよ」

風に揺れるススキの影が、まるで語りかけるようにささやきます。

「でも、同時に手放しの時でもある。次の季節に備えるために、軽やかになるんだ」


チャップはふと、夏に見つけた小さなハーブカードを思い出しました。

そこには「信頼」という言葉と、タイムの香りが染みついています。

あの夜、雨の中で出会ったジャスミンの香り、紫陽花の雫――

どの記憶も、チャップにとって“心の実り”でした。


月の光が少しずつ薄れていく。

14日の下弦の月に向けて、空はまた静けさを取り戻していきます。

「次は、手放す時期だね」

チャップは優しく瞬きをしながら、月を見上げました。


庭の片隅では、乾いたローリエとセージの葉が風に揺れ、

ほんの少しスパイシーな香りを放っています。

その香りは、過去を清め、前に進む力を与えるようでした。


チャップは心の中でそっと呟きました。

「ありがとう、ハーベストムーン。ぼくの中にも、ちゃんと実りがあったんだね」


やがて、月は雲に隠れ、夜は深く沈みました。

その暗闇の中にこそ、新しい物語の芽が静かに息づいていたのです。




🌕 牡羊座満月〜下弦の月にかけての過ごし方 🌿

・これまでの努力を振り返り、自分をねぎらう

・ローリエやタイムのハーブティーで心を整える

・いらなくなった思考や習慣を、月に感謝して手放す

・「次の挑戦」に向けた心の準備をはじめる