九月に入ってから、
ルミエールでは雨の日が続いていた。

朝も雨。
昼も雨。
夕暮れになると、また細い雨が窓を濡らす。

庭の花たちは少しずつ秋の色へ変わり、
夏の名残を抱いた葉が、静かに揺れている。

チャップは窓辺で丸くなりながら、
雨の向こうにある庭を眺めていた。

「今年は、よく降るね」

toccoが温かなハーブティーを置くと、
チャップはゆっくり顔を上げた。

「でも、雨が降るからこそ育つものもあるんだよ」

そう言って、toccoは庭の小さな鉢を指さした。

そこには、雨に濡れながら
新しい芽を出している植物があった。

今夜は乙女座の新月。

新月の夜は、
空から月の姿が消える。

けれど、それは何もなくなる時間ではない。

見えないところで、
次の月が少しずつ育ちはじめる。

toccoは、古い月読みノートを開いた。

そこには、これまでの出来事が
たくさん書き残されている。

出会い。

別れ。

嬉しかった日。

心が揺れた夜。

チャップとの小さな冒険。

そして、ルミエールに訪れてくれた人たちの言葉。

toccoはページをめくりながら、
ふと立ち止まった。

「たくさんのものを抱えてきたんだね」

チャップが、そっと隣に寄り添う。

乙女座の新月は、
何もかも完璧にするためのものではない。

今の自分に必要なものと、
もう役目を終えたものを、
静かに見つめ直す時間。

机の上を少し片づける。

古い写真を一枚だけ整理する。

いつもより丁寧にお茶を淹れる。

疲れた日は、早めに眠る。

そんな小さなことからでいい

「暮らしを整えると、心にも少し余白ができるのね」

toccoが呟いた。

するとチャップは、
窓辺からぴょんと床へ降りた。

そして、いつものように
ルミエールの中をゆっくり歩き始める。

雨音。

ハーブの香り。

小さな灯り。

そのどれもが、
今のルミエールに必要なものだった。

toccoは新しいページを開き、
今日の日付を書いた。

そして、こんな言葉を添えた。

「急がなくても大丈夫。
整えながら、次の季節を迎えればいい。」ら

外では、まだ雨が降っている。

けれど、チャップには
その雨が少しだけ優しく聞こえた。

雨の日にも、
季節はちゃんと進んでいる。

見えない場所で根を伸ばし、
小さな芽を育てながら。

ルミエールの窓に落ちる雨粒を眺めながら、
チャップは静かに目を閉じた。

そして今夜もまた、

誰にも気づかれないほど小さなところで、
新しい物語が始まっていた✨

🌙 toccoの月読み

新月だからといって、
大きな目標を決めなくても大丈夫✨

まずはひとつ✨

自分の暮らしや心に、
小さな余白をつくってみよ✨

その余白にこそ、
次の季節の芽が育っていくのかもしれません♪