雨の夜にも灯りは消えない,,,,


台風の近づく夜

朝から降り続いていた雨は、夕方になってさらに強くなり、ルミエールの窓を細かな水滴で覆っていた。

庭の花たちは風に揺れ、
いつも聞こえる風鈴の音さえ、今夜は雨音の向こうに隠れている。

「今日は、月が見えないね」

チャップは窓辺に座り、
暗い空をじっと見つめていた。

今夜は獅子座の新月。

けれど、空には厚い雲。

月も星も、どこにも見えない。

チャップは少し寂しそうに、しっぽを揺らした。

すると、店の奥からtoccoの声がした。

「見えない夜にも、月はちゃんとそこにいるよ」

チャップが振り返る。

toccoは小さなランプに灯りをともしていた。

「雨の日は、空を見上げても答えが見つからないことがあるの」

そう言って、窓の外を見る。

「でもね。
そんな日は、自分の中にある小さな灯りを見つければいいのかもしれない」

獅子座の新月。

それは、誰かに認めてもらうために輝くのではなく、

自分の心が本当に望んでいるものを、もう一度思い出す時間。

チャップはランプのそばへ歩いていった。

いつもの月明かりはない。

けれど、ルミエールにはちゃんと灯りがある✨温かなハーブティー🫖

濡れた庭の香り🪴

雨宿りに訪れた人の「ありがとう」♡

そして、そばにいるチャップ🐈🤍

toccoは月読みノートを開き、一行だけ書いた。

「光は、いつも空から降ってくるとは限らない。」

外では雨が激しく降り続いている。


けれど、その夜ルミエールを訪れた人たちは、誰も月を見られなかったことを残念がらなかった。

窓辺の小さな灯りを囲みながら、

「雨の日も、悪くないですね」

そんな声が聞こえた。

チャップは丸くなって目を閉じる。

見えない月。

荒れる空。

思い通りにならない夜。

それでも――

心の中に小さな火が残っていれば、
人はまた歩き出せる。

やがて台風が過ぎれば、
雲の向こうには、また空が戻ってくる。

新月も同じ。

何も見えない暗闇から、
次の光が始まっていく。

その夜、ルミエールの窓には、
雨粒と小さなランプの光が並んでいた。

チャップは眠る前に、もう一度だけ窓の外を見た。

「月が見えなくても……
ちゃんと新しい夜なんだね」

そう言うように、
小さく喉を鳴らした。

そして物語は、
雨上がりの朝へ向かって、
静かに次の頁をめくり始めた。